麻薬取締官になるにはどうすればいいのかを解説!

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麻薬取締官になるにはどうすればいいのか解説!

国家公務員の1つであり、麻薬や覚せい剤をはじめとする違法薬物の流通や不正売買、それに伴う犯罪を取り締まる「麻薬取締官」。
刑事ドラマに登場したり、近年増えている芸能人の違法薬物の摘発で活躍したりと、気になる存在ですね。

薬の一種である「麻薬」に関わるだけあり、実は薬剤師にも関係のある職業です。

今回は、麻薬取締官になるにはどうすればいいのかを解説していきます。

大学は薬学部か法学部を出るのが近道 

麻薬取締官になるには、薬学部か法学部を出るのが近道です。

最終的にはどの学部出身でも麻薬取締官になれますが、麻薬取締官研修の前に必要な実務経験の長さが全然違うからです。
薬学部・法学部の卒業者であれば、実務経験は必要なく、麻薬取締官に採用されたらすぐに麻薬取締官研修に入ることができます。

しかし、薬学・法学部以外の場合は麻薬取締官の採用試験に合格しても、麻薬取締官研修を受ける前に「薬事に関する行政事務3年以上」または「麻薬取り締まりに関する事務2年以上」を積む必要があります

よって、薬学部・法学部を出るのが麻薬取締官への近道であると言えるでしょう。

麻薬取締官になるための試験と資格 

麻薬取締官の採用試験を受けるには、2つのルートがあります。

1つは薬剤師以外の受験ルートで、「国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)」の「行政」または「デジタル・電気・電子」の第一次試験に最終合格。

その後、官庁訪問による採用面接に合格することで採用されるルートです。

もう1つは薬剤師の受験ルートで、29歳以下の年齢制限(令和5年度採用においては平成4年4月2日以降生まれ)を満たす薬剤師か、薬剤師国家試験合格者に受験資格があります。

薬剤師の受験ルートでは、各支所の麻薬取締部で「論文」「適性検査」「面接」の一次試験があり、その後最終試験として面接があります。最終試験に合格することで麻薬取締官に採用されます。

採用されてもすぐに麻薬取締官になれる訳ではありません。学歴に応じた実務経験を一定期間積み、研修を修了した末にようやく麻薬取締官に任命されます。

実務経験は上で説明した通り、学歴により政令で定められています。

  • 法学・薬学の学士(大学卒業者)・・・実務経験必要なし
  • 法学・薬学以外の学士(大学卒業者)・・・薬事に関する行政事務3年以上、または麻薬取り締まりに関する事務2年以上
  • 法学・薬学の短大・高専卒業者・・・麻薬取り締まりに関する事務を1年以上

麻薬取締官の適性求められる人物像

麻薬取締官は、「正義感のある人」「心身のタフさを兼ね備えている人」「薬学・法学・ITの知識のある人」「物事をわかりやすく伝えるスキルを持っている人」である必要があります。

正義感のある人

麻薬取締官は「正義感のある人」であることが最も重要です。

もっと具体的に言うと、「違法薬物は許されない物であり、絶対に取り締まる」という強い信念と正義感を持っている必要があります。

薬物を使用した人は例外なく取り締まられますが、中にはやむを得ない事情で薬物に手を染めた人も存在します。

しかし、そこで情に流されることは麻薬取締官には許されません。

その1人を見逃したばかりに、さらなる薬物犯罪が起こることも充分考えられます。

「どんな薬物もダメ、絶対」という強い正義感が、麻薬取締官には必要です。

心身のタフさを兼ね備えている人

麻薬取締官には「心身のタフさ」が必要です。

メディアでは派手な捜査・逮捕シーンが描かれたり、華々しい活躍が報じられますが、その結果を得るためには多くの地道な忍耐と努力が必要です。

張り込みで車の中に何泊もしたり、山の中の内偵など過酷な状況で勤務することもたくさんあります。

また、捜査対象者や、調査している荷物の動きに合わせて動くため、土日や深夜の勤務も珍しくありません。

公務員は安定した勤務体系のイメージがありますが、決してそんなことはない職場です。

また、大変なのは体力的な問題だけではありません。

違法薬物を使用している人は精神的に普通でない事も多く、取り押さえる際に麻薬取締官に危険が生じたり、その後の取り調べも我慢強さ、精神的なタフさが必要です。

危険な任務にも対応できるように、逮捕術や拳銃射撃訓練を始めとする各種の研修を受けますが、強い精神力がないと続けていくことは難しいでしょう。

薬学・法学・ITの知識のある人

麻薬取締官には薬学・法学・ITの知識が求められます。

麻薬取締官は薬物関係法(※1)の知識、違法薬物に関する深い薬学的知識も必要とされます。

そのため、大学で法学や薬学を修めると任官前の実務経験が免除されるのです。

また、近年はインターネットや押収したパソコン・携帯電話から捜査情報を入手することもあり、ITの知識が必要とされることも増えています。

(※1)薬物関係法とは

「麻薬及び向精神薬取締法」「あへん法」「大麻取締法」「覚醒剤取締法」「国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律(麻薬特例法)」「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」を指します

参照:厚生労働省 麻薬取締部 https://www.ncd.mhlw.go.jp/sousa.html

物事をわかりやすく伝えるスキル

物事をわかりやすく伝えるスキルも必要です。

麻薬取締官は薬物犯罪の取締りだけではなく、以下の業務も行うからです。

1) 薬物乱用防止講演の実施

薬物犯罪を増やさない為には、小さいころからの教育が大切です。そのため、子供や若い人に薬物の怖さを伝えるために、様々な学校で薬物乱用防止講演を実施しています。

2) 薬物乱用者の家族や友人からの相談・一般市民からの通報の対応

身内からの相談や市民からの通報は、薬物犯罪の検挙に繋がる重要な情報源です。

取り締まりに必要な情報を正確に聞き取る必要があります。

3) 薬物依存からの回復を支援するプログラムの実施

薬物乱用からの回復を支援するプログラムを実施しています。薬物に関する正しい情報を分かりやすく伝えることで、薬物依存からの回復や、再発防止に役立ちます。

この中でも特に「伝えるスキル」が重要なのは「薬物依存からの回復を支援するプログラムの実施」でしょう。
具体的には「面談・電話でのカウンセリング」「再乱用防止プログラムの実施」「医療機関や支援機関・施設の紹介」を行っています。

支援対象は薬物依存症の本人だけではありません。家族や友人に対して依存症に対する勉強会を行ったり、相談に乗ることもあります。

なぜこのプログラムが必要かというと、薬物犯罪の恐ろしさの一つに、薬物をやめたいのに繰り返し使ってしまう「薬物依存症」があるからです。

薬物依存症に陥ると

「薬物を使用→逮捕されて薬物をやめる→釈放された後にまた薬物を使用→逮捕」

のループを繰り返しやすく、薬物乱用における大きな問題となっています。

麻薬取締官が一般の人に薬物の恐ろしさを伝え、薬物依存者には再使用を防ぐ活動を続けることで、社会全体から薬物犯罪が減っていくことが期待されます。

麻薬取締官の年収事情

麻薬取締官は国家公務員のため、その給与は「行政職俸給表(一)」による俸給(民間で言う基本給)に、調整額と各種手当を加えた額となります。

麻薬取締官は役所関連の業務を行う「行政職」にあたり、警察官が該当する「公安職」、公務員薬剤師が該当する「医療職」とは区分が違います。そのため、国家公務員の中では年収が高いとは言えません。しかし、危険な業務も含まれるため、行政職の中では手当や昇給が手厚く、年収は高めと言われています。

また、公務員のため、民間企業に比べると年収は安定していると言えるでしょう。

<1年目の年収>

「令和4年国家公務員給与等実態調査の結果(※2)」によると、大学卒、経験年数1年未満の平均俸給額は188,985円 です。

麻薬取締官の初任給はこの金額が目安となります。

また、行政職俸給表(一)に諸手当を加えた「平均給与月額」も公表されており、大学卒、24歳以上28歳未満の金額は246,182円です。地域手当や住居手当も含めた平均なので個人差がありますが、手当を含めた月収の目安にはなるでしょう。

令和4年のボーナスは人事院勧告(※3)により4.4ヶ月分と発表されました。よって非常に大まかですが、初年度の年収は380万程度と考えることができます。

<麻薬取締官の平均年収>

行政職俸給表(一)の平均年齢は42.7歳、平均経験年数は20.7年、平均俸給額は323,711円、手当も含めた平均給与月額は405,049円です。

よって、1年目と同様に計算すると、平均年齢に当たる40歳前後の大卒麻薬取締官の平均年収は630万程度と計算できます。
(手当や等級は個人によって異なるため、あくまでも平均値を基にした理論上の数値です)

(※2)人事院令和4年国家公務員給与等実態調査の結果 https://www.jinji.go.jp/kankoku/kokkou/04kokkou.html
(※3)令和4年 人事院勧告 https://www.jinji.go.jp/kankoku/r4/r4_top.html

麻薬取締官の就職先

麻薬取締官の就職先、経験に沿って行われる研修、キャリアパスについて解説していきます。

厚生労働省の麻薬取締部に配属される

麻薬取締官の就職先は厚生労働省の地方支分部局である、地方厚生局内の麻薬取締部です。

地方厚生局は「北海道厚生局」「東北厚生局」「関東信越厚生局」「東海北陸厚生局」「近畿厚生局」「中国四国厚生局」「九州厚生局および四国厚生支局」の7局1支局です。

麻薬取締官の定員は全国で296名、年間15〜20名程度が採用されます。

(令和元年は20名、令和2年は18名、令和3年は18名が採用内定されました。(※4))

麻薬取締官の6〜7割が薬剤師の免許を持っており、全体における女性の割合は2割ほどと言われています。

麻薬取締部の組織は「総務部門」「鑑定部門」「国際部門」「捜査部門」に分かれ、その下に様々な役割の課があります。

代表的な課の仕事内容を解説します。

<調査総務課>(総務部門)
行政の仕事を中心に行います。人事活動・許認可・会計・庶務などの幅広い業務を行います。免許の発行や、医療用麻薬の流通が適正に行われているかの立ち入り検査も行います。

<鑑定課>(鑑定部門)
様々な分析機器を使って、検査で押収した薬物・逮捕者の尿・毛髪などを分析します。
最新の分析化学の知識や薬学の専門性が必要です。
薬物使用の形跡や証拠を調べる化学鑑定試験、誰が薬物を使用したかを調べるDNA型鑑定試験などを行っています。

<国際情報課>(国際部門)
海外の薬物使用状況の調査分析、海外の捜査機関と連携した密輸検査を行います。
日本は薬物が高値で取引される世界的な最終消費地の1つです。
そのため世界中の薬物犯罪組織から狙われており、海外との連携が非常に重要です。

<捜査課>(捜査部門)
内偵捜査を行い、日々逮捕に向けた地道な努力を積み重ねています。

(※4)令和5年度麻薬取締官募集要項9Pより https://www.ncd.mhlw.go.jp/report/pdf/R5_saiyou.pdf

就職後は様々な研修がある

麻薬取締官として採用合格した後も、年次や経験に応じた研修が行われます。

  • 採用合格
    <新規採用職員研修>
    (時期:採用1~2か月後 期間:2週間程度)
    麻薬取締官について全体的に学び、基本的な法令、捜査事務手続き等を修得します。
    <麻薬取締職員研修>
    (時期:任官前 期間:3週間程度:集団生活)
    麻薬取締職員として必要な基本的知識・技能を修得します。
  • 学歴に応じた実務経験期間
    <麻薬取締官初等科研修>
    (時期:麻薬取締官に任官直前・直後 期間:2週間程度)
    麻薬取締官の職責、必要な知識・技能を修得します。
  • 麻薬取締官の任命(任官)
    <麻薬取締官中等科研修>
    (時期:任官後3年程度 期間:3週間程度)
    捜査の中核的存在になるべく、必要な知識・技能を修得します。
    <麻薬取締官高等科研修>
    (時期:任官後10年以上 期間:5日間程度)
    事件捜査の指揮要領、心構え等の必要な知識・技能を修得します。
    <幹部研修>
    (時期:幹部昇任直後 期間:3日程度)
    捜査指揮官などの管理職として必要な知識・技能を修得します。

その他も、逮捕術訓練、外国語研修なども行われます。

麻薬取締官のキャリアパス

ほとんどの麻薬取締官は「捜査部門」に配属され、以下のようにキャリアを積んでいきます。

<新任者(1~2年目)>

  • 捜査実務の習得(OJT・集合研修)
  • 捜査補助

<係員(2~12年目)>

  • 捜査(班員)

小地区、大地区両方の経験を積みます

<係長クラス(9~19年目)>

  • 捜査(現場班長)
  • 部下の教育

捜査以外の業務、警察・税関などの業務も経験します

<補佐クラス(15年目以降)>

  • 捜査(現場指揮)
  • 部下の管理

上司の補佐、部下のフォローを行います

<幹部クラス(20年目以降)>

  • 情報官・・・他地区・他機関との窓口、統計関係
  • 密輸対策官・・・税関との連携、密輸事犯の処理など

<課長クラス(23年目以降)>

  • 捜査方針の決定
  • 他課・他機関との高度な交渉

<部長クラス>

  • 人事管理
  • 業務執行管理

麻薬取り締まり全体を考えて行動します

麻薬取締官の将来性

これからも麻薬取締官の仕事はますます重要になっていくと考えられます。

薬物乱用は昔から問題視されており、麻薬取締官も長年立ち向かっていますが、残念なことに、違法薬物の乱用は減っていません。

インターネットや物流網の発達により、違法薬物の流通や受け渡しがしやすくなったこと、外国人密売人の暗躍なども原因と言われています。

これに対抗するため、分析技術の進歩、情報を管理する部署の専門化、警察・税関・海上保安庁との協力体勢の構築、海外との連携強化などが行われています。

また、若者の薬物乱用を増やさない為にも、学校やインターネットでの薬物乱用防止活動・薬物依存症の患者や家族に対するケアなど、薬物犯罪を起こさない世の中づくりでも麻薬取締官は活躍していくと思われます。

よって、麻薬取締官の業務は更に広範囲にわたるようになり、ますます重要度を増していくことでしょう。

麻薬取締官になるにはどうすればいいのかまとめ

  • 麻薬取締官になるには大学は薬学部か法学部を出るのが近道
  • 麻薬取締官は厚生労働省の麻薬取締部に配属される
  • 麻薬取締官には将来性もある

麻薬取締官は厚生労働省の国家公務員のため、必要な試験に合格して研修を受ける必要があります。

また、その業務は多岐にわたるため、忍耐力、体力、判断力、説明する力などを総合的に身に着ける必要があるでしょう。

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