臨床薬剤師の年収はどれくらい?やりがいや仕事内容も解説!

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臨床薬剤師の年収相場は一般的な病院薬剤師と同じ程度

一般的な病院薬剤師の平均年収は400~650万円と言われています。
それに対して、病棟でより臨床的に活躍している臨床薬剤師の年収はというと、一般的な病院薬剤師と同じ程度であるといわれています。
厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、2022年度の薬剤師全体の平均収入は580.5万円であるとのことです。

全体の平均年収と、臨床薬剤師になったときに平均年収を見比べると、「年収をあげるために臨床薬剤師を目指す」というのはオススメできない選択肢です。

臨床薬剤師は高収入を目指したいという方ではなく、仕事にやりがいを感じたいという方のほうがオススメできる働き方と言えます。
今までの薬剤師像よりも、もっと臨床の場に踏み込むことで患者と深く関わったり、治療に貢献している実感を得やすくなったりするため、やりがいのある仕事です。

参考:厚生労働省賃金構造基本統計調査

そもそも臨床薬剤師とは

臨床薬剤師は病院薬剤師の中でも、その名のとおり臨床の業務に携わっていく薬剤師です。

調剤業務を中心とする従来の薬剤師の働き方に加え、病棟でのチーム医療の一員として患者の治療に直接関わっていく存在です。
日本ではまだまだ臨床薬剤師の存在が浸透しておらず、臨床薬剤師になるために必須の資格などは薬剤師免許以外には特にありません。

とはいえ、誰でもすぐになれるかと言われれば答えはNOです。
薬物療法についての幅広く高度な知識やコミュニケーション能力など、薬剤師・医療人としての資質や能力が求められます。

臨床薬剤師の概要

臨床薬剤師はもともとアメリカでうまれた比較的新しい働き方であり、日本でも徐々に普及が進んでいる状況です。
アメリカでは調剤を専門に行うテクニシャン制度があるため、調剤よりも患者と向き合うことが薬剤師の仕事として重要度が高いです。
クリニカル・ファーマシストとして、病院では服薬を一元的に管理する役割を担っています。
服薬指導を行うだけでなく、回診に同行し、医師の診断をもとに処方設計や投与設計のアドバイスを行います。このようなアメリカでの薬剤師の働き方をモデルに日本でも臨床薬剤師という働き方が誕生したといえます。

これまでの日本の薬剤師像といえば

  • 医師による処方せんに則って調剤を行う
  • 薬の飲み合わせ・相互作用を確認する
  • ドラッグストアなどで医薬品に関する相談に乗る

といった業務を思い浮かべる方が多く、臨床の場で患者と積極的に関わっていく薬剤師を想像するのは少数派でしょう。
医薬分業により、院外処方せんの数が増えることによって、調剤薬局で働く薬剤師と病院で働く薬剤師、それぞれに求められる業務も変化していると考えられます。

臨床薬剤師は病院で働く薬剤師の業務内容が変化し、調剤業務よりも服薬指導や薬学的管理に重点を置いた働き方です。
具体的には患者に薬剤や治療についての説明・服薬指導を行ったり、医師に対しては処方提案・投与設計のサポートなどを行います。
投与設計のサポートとして、患者の薬歴や臨床データをもとに、年齢や肝・腎機能など個人の特性に応じた薬物動態の計算を行います。

病院薬剤師との関連性

臨床薬剤師は病院薬剤師の中でも特に「薬剤管理指導業務」を行う薬物治療のスペシャリストといえます。
薬歴管理・効果予測・投与設計・服薬指導などの業務を通して病棟におけるチーム医療の一員として働くことが求められます。

薬物治療のスペシャリストとして、医薬品の情報感度も高くしておく必要があります。
日々の自己研鑽はもちろん、医薬品情報管理室(DI室)の担当薬剤師とも協力して知識のアップデートが重要となります。

臨床薬剤師の業務内容

臨床薬剤師が主な業務として行う薬剤管理指導業務とは、

  • 服薬指導・服薬支援
  • 処方された薬剤の投与設計・適正使用に関する確認
  • 患者の状態把握
  • 投与された薬剤の効果や副作用の発現

などを把握し、医師にフィードバックやアドバイスを行うことなどが当てはまります。
ポイントを絞って深掘りしてみていきましょう。

服用する医薬品のデータ取得・情報管理

臨床薬剤師は患者の薬歴だけでなく、投薬による効果や副作用についてもデータとして記録し、医師をはじめとする医療チームとコミュニケーションをとり、薬物療法が適切に行われるように情報を共有します。
患者に携わる多職種の人に伝わるように記録を残す必要があります。

添付文書や院内のデータベースの確認はもちろん、必要時には国内外の論文を調べて情報収集を行うこともあります。
実際の治療を通じて得られた情報やデータを加え、患者個々にあった治療へと活かしていくことが求められます。
臨床症状が似ている患者に同量の薬剤を投与しても治療効果や副作用発現が異なることもあるため、様々な臨床データを常に収集し、解析していくことが重要です。

医薬品の投与の設計提案

医師の処方の目的を理解したうえで、医薬品の投与設計を行い、医師に確認・提案することも臨床薬剤師の重要な業務の1つです。
医師が患者の特性や病態などをどのように診察しているのかを理解し、治療方針に見合った薬物療法を実行できるように支持することが重要です。
体格や年齢、肝・腎機能などの生理機能の状態を考慮して薬物動態を推定し、薬学的に適切かつエビデンスに基づいた投与設計を提案します。

臨床薬剤師が薬剤の総合的な管理を担うことによって医師をはじめとする、他の医療従事者の負担を減らしていくことにつながります。
様々な疾患を合併している患者の場合には、医師が専門外の薬剤を扱うことになるケースも少なくありません。
医師が専門領域の治療に専念できるように投与設計の提案をすることも重要です。

例えば糖尿病は薬物治療の役割が非常に大きい疾患です。
1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠糖尿病などの成因分類によって内服薬を使うのか、注射薬を使うのか、または併用するのかを選択します。その剤型の中でもどの薬剤を使うべきなのかも考慮しなければなりません。
高齢者であれば低血糖を起こしにくい薬剤を選択したり、生理機能の状態によって代謝経路が適切なものなのか考慮したり、認知機能が低下している患者の場合には訪問看護の利用有無などの要因によっても治療薬の種類や内服・注射の回数は適切かどうかなど、考えるポイントはたくさんあります。
治療薬が多く、治療方法が複雑なことからも、まさに臨床薬剤師の出番だと言えます。

医薬品の服用方法の指導

医薬品の服用方法の指導については薬剤師として働いているうえで当然行う業務になりますが、臨床薬剤師の場合にはもう少し踏み込んだ指導が求められる可能性があります。

臨床の場では、日本において未承認医薬品に該当する医薬品の処方や、添付文書とは異なる投与量・投与方法がとられるケースもあります。
このような場合にも処方の目的や処方薬の情報をしっかりと把握し、患者にわかりやすく、不安な気持ちにさせないように伝える必要があります。
適切な投与設計を行ったとしても、処方の目的などをうまく伝えられずに不安を感じさせてしまうと服薬してくれないケースもありえるので、服薬指導は臨床薬剤師にとっても重要な業務です。

診療科にもよりますが、患者の年齢は小児から高齢者まで幅広いため、患者本人に合わせた説明はもちろんのこと、家族の方にも理解してもらう必要もあります。

臨床薬剤師になるには-薬剤師レジデント制度について-

薬剤師レジデント制度とは、大学卒業直後などのタイミングで病院などで薬剤師として働きながら研修をうけ、資質を向上させる制度です。
早期に臨床業務を経験したり、様々な講義を受けたり、研究に取り組んだりすることで短期間で集中的に必要な知識やスキルの習得ができるものです。

アメリカでは、日本でいう薬剤師資格にあたるPharm.D.取得後、1年目にPGY(post-graduate year)1と、2年目にPGY2というレジデント制度があります。
PGY1では、特定の分野に絞らず幅広く知識を身に着け、PGY2では専門性・臨床力を高めていくようなプログラムになっているのが一般的です。

日本においては、2002年に北里大学北里研究所病院で初めて薬剤師のレジデント制度が導入されました。
その後、薬学部が6年制になったあたりの2010年~2011年頃から多くの病院に広がっていき、その施設独自のプログラムに基づいて研修が行われます。

今までの研修制度と異なる点としては、レジデントにも給与が支払われるということです。
従来では研修生が研修費を支払って研修を受けるということが一般的でした。レジデント制度では、正社員として働いた場合と比較すると額面が低くはなりますが給与を得られるため、安定した生活基盤を確保しつつ研修を受けてスキルアップすることができます。

臨床薬剤師に求められるスキル

臨床薬剤師の業務内容からもわかる通り、求められるスキルとしては、医薬品に関する知識を発揮し、患者個々の病状・状態にあてはめて適切な治療に結び付けていく力が重要だと言えます。
そのほかにも、患者やその家族から必要な情報を引き出したり、チーム医療の一員として医師・看護師などと良好な関係を保ったりなどと、高いコミュニケーション力も求められます。

医薬品への幅広い知識

臨床薬剤師には添付文書の内容はもちろんのこと、他の医薬品・食品との相互作用や、年齢、性別、体重、体質、生理機能、病態などを考慮するための幅広い知識が求められます。
同じような疾患をもつ患者でも身体の状態や病態は一人ひとり異なってくるため、薬物動態を計算してその人に最適な投与設計を設定できることが必要です。

医薬品への幅広い知識が必要であり、投与設計に関わる業務としてはTDM(薬物血中濃度モニタリング)が有名です。

TDMとは、薬物の血中濃度を測定・解析し、個々の患者における薬物の適正な用法・用量を設定する業務です。

同じ薬物の投与量でも血中濃度の個人差が大きいものだったり、治療域の狭い薬に関しては薬物の血中濃度を測定し、用法用量を調節することで効果を高め、副作用のリスクを減らすことができます。
患者それぞれにとって最適な薬物療法を行える上に、抗生剤の適正使用にもつながっていく重要な業務です。

患者とのコミュニケーション力

臨床薬剤師にはコミュニケーション力も重要なスキルの1つです。
まずその患者に適した薬物療法を行っていくためには、患者の状態を正確に把握する必要があります。
生理機能などは血液検査などで把握できますが、併用薬や病歴、治療に対してのモチベーションなど、患者から聞き取る必要がある情報も多数存在します。
適切な薬物療法を行っていくために、患者が話しやすくなるようにコミュニケーション力を発揮して傾聴を行う必要があります。

特に慢性疾患の場合には、患者の治療に対するモチベーションが低くなってしまっているケースも少なくありません。
いくら適切な投与設計をたてても、患者の意思に寄り添わずに無理に実行してしまうと、そもそも服薬しない可能性も出てきます。
患者のライフスタイルと治療との調和をとるようにコミュニケーションをとり、患者をチーム医療の一員として治療を行っていくことも重要でしょう。

関係者とのコミュニケーション力

チーム医療が推進されていることもあり、臨床薬剤師が活躍する場では多職種連携が欠かせない体制となっています。
医師を中心として、看護師、検査技師、栄養士、ソーシャルワーカーなどに加え、臨床薬剤師が含まれる病院薬剤師が入って医療チームを構成します。
医師は患者の疾患を診断してメインとなる治療方針を決定し、看護師は医師の指示のもとに患者のケアを行います。

最も患者と接する機会が多いのが一般的に看護師になるため、看護師による患者情報の収集は非常に重要であると言えます。
臨床薬剤師は薬剤の効果や副作用の所見とその予防・対処方法など、正しい医薬品情報を看護師に提供して、いち早く変化に気づいてもらえるように、情報を共有する必要があります。
そのほかにも患者の治療へのモチベーションやバイタルサインの変化なども看護師から情報をもらうことでより適切な薬物療法を行っていくことにつながります。
これらの情報をもとにチーム医療のリーダー的存在である、医師に対して処方の提案や投与設計の支援を行います。

このようにチーム医療の一員として働く臨床薬剤師にはコミュニケーション力が求められるスキルの1つとなります。
患者だけでなく、医師や看護師などとも良好な関係をもって連携していくことが大切です。
そのうえで、薬学的観点をしっかりと持って必要な意見をしっかりと伝えていく必要があります。

臨床薬剤師の今後の将来性

臨床薬剤師の今後の将来性は明るく、需要は増えていくのではないかと予想されます。

その理由の1つとして、日本が超高齢化社会になっていくことです。
超高齢化社会とは、65歳以上の高齢者の割合が全人口の21%を占めている社会のことを言います。

1981年以降、日本人の死因の第一位はがんです。
近年ではがんに対する治療法や治療薬も大きく進歩し、新薬も続々登場しており、寿命の延伸に貢献しているといえます。
それに加え、高齢化に伴う生活習慣病の増加の影響もあり、ポリファーマシーの患者が一定数います。

ポリファーマシーとは、多剤服用により、副作用や有害事象が引き起こされてしまう状態のことです。
日本国内では、薬物有害事象の発現頻度が6剤以上で上昇するという報告があります。
医師1人のみでは専門外の領域もあって、薬を減らしていく判断が難しいケースもあります。そこで臨床薬剤師が介入することによって、ポリファーマシーを少しでも適正な状態に持っていくことが期待されます。
高齢化によってより複雑になっていく薬物治療を適切に行うために、薬の専門家である臨床薬剤師の需要が増えることは自然な流れと言えます。

まとめ

女性アドバイザー(吹き出し用アイコン)

今後チーム医療の一員として必要不可欠になるであろう、薬物療法のスペシャリストの臨床薬剤師は今後も活躍の場が広がっていくと予想されます。
年収で比較すると魅力を感じにくいかもしれませんが、薬剤師の業務は対物業務から対人業務に移行しつつあるので、時代の流れにフィットした働き方の1つです。
将来を見通したキャリアアップの1つの選択肢として検討の余地があるのではないでしょうか。

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