薬剤師が不足している都道府県はどこ?
地方の方が薬剤師の給料がいいことが多いけど、地方が不足しているのかな?
薬剤師が少ない都道府県について調べました!
地方への転職を考えている薬剤師の方が抑えるべきポイントも解説しています。
薬剤師が少ない都道府県TOP5!薬剤師が不足している都道府県はどこ?
全国でもっとも薬剤師が少ない都道府県は鳥取県です。
平成30年のデータでは、薬剤師が少ない都道府県TOP5は下記の通りです。
薬剤師が少ない都道府県TOP5
- 鳥取県
- 島根県
- 福井県
- 高知県
- 山梨県
当然ですが人口が少ない地域では薬剤師も少ないですね。
薬剤師不足には地域差があります。
薬剤師は都心部に就職する人が多いため、地方での薬剤師不足は深刻な状況です。
人口10万人あたりの薬剤師数で考えると平均を下回っている都道府県は多い
こちらは人口10万人に対して何人の薬剤師がいるのかを、都道府県別で見ているグラフです。
引用元:平成30年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況(全体版)
棒グラフの上の方を見てみると、全国平均の「190.1人」というラインがあります。
全国平均のラインを下回っている都道府県が多いですね。
厚生労働省が発表している平成28年の同調査では全国平均が181.3人でしたので、実は前回に比べれば人口10万人あたりの薬剤師の人数は8.8人増加しています。
しかし実際にはまだ多くの都道府県で薬剤師が不足しています。
薬剤師が不足している地域TOP5
平成30年度のデータでは、薬剤師が不足している地域TOP5は以下の通りです。
薬剤師が不足している地域TOP5
- 鳥取市(鳥取県):423人
- 八戸市(青森県):446人
- 松江市(島根県):446人
- 八尾市(大阪府):476人
- 佐世保市(長崎県):509人
令和3年度の厚生労働省の調査によると薬剤師不足の地域差の要因は次のように考えられています。
- 地方部を出身とする薬剤師が少ない
- 都心部での就業を希望する人が多い
薬剤師は出身の地域でそのまま働く人が半数以上であることがわかっています。
人口が少ないほどその地域を出身とする薬剤師も少ないため、薬剤師が不足します。
また、交通の利便性や研修制度の充実のため都心部で働きたい人が多いことも、地方で薬剤師が不足する原因の一つです。
現時点では不足している都道府県が多い
薬剤師の数は年々増えており、近い将来飽和状態になると何年も前から言われています。
確かに東京、神奈川、兵庫などの都会には薬剤師の数が集中しています。
しかし前述のグラフの通り、薬剤師が不足している都道府県の方が圧倒的に多いのが現状です。
薬剤師不足の原因
2006年に薬学教育は6年制に変更され、新設の薬学部・薬科大が急増しました。
入り口が広がって、薬剤師の人数は増加傾向にあります。
では、なぜ薬剤師不足が続いているのでしょうか。
薬局やドラッグストアが増えている
医薬分業が進んだり社会が高齢化しているため、薬局やドラッグストアが急増しています。
新店舗が増え続けているのに対して、必要となる薬剤師の数が追いついていない状況です。
薬剤師免許のいらない仕事につく人がいる
薬剤師の就職先は薬局や病院などの医療機関だけではありません。
製薬会社や研究職などの中で、薬剤師免許のいらない仕事につく人も一定数います。
また、薬剤師の資格は取ったけれどそもそも医療業界とはまったく違う業界で働く人もいます。
薬剤師に女性が多い
薬剤師の男女比は4:6で女性の方が多いため、出産や子育てなど女性特有のライフイベントにより勤務時間を短くしたり、離職することもあります。
離島は特に薬剤師が不足している
平成30年の厚生労働省のデータでは、10万人あたりの薬剤師の数が最も少ないのは沖縄県の139.4人です。
沖縄県以外でも、離島や地方では医師や看護師と同じように薬剤師の数が少なく、住民が十分な医療を受けられないことは深刻な問題となっています。
離島が抱える問題について
離島では少子高齢化が進行しているにも関わらず、医療施設や医師・薬剤師が不足しています。
引用元:首相官邸(離島部が抱える課題)
図の右下、<離島における医師不足の現状>からもわかるように、人口10万人あたりの医師の数は本土部と離島部で約2倍もの格差があります。
遠隔治療の導入について
安心して離島に住みつづけるために、遠隔治療の導入が実施されています。
引用元:首相官邸(離島部が抱える課題)
離島での医師不足に対しては、インターネットをつかって遠隔で診察するという対策がとられています。
遠隔で行われる特定健康診査により、住民の健康づくりを促す目的です。
国や自治体の対策
国や自治体の対策としては、薬剤師不足による医療の地域差をなくすために「医師・薬剤師の人数や医療機関の数の確保」に力を入れています。
例えば、企業や大学の制度として離島や地方など薬剤師不足の地域で一定期間働く仕組みづくりが考えられています。
地域医療へ貢献する経験が地方や離島での勤務にやりがいや魅力を見出すきっかけになり、ゆくゆくは薬剤師が定着することが期待されています。
しかし離島のリクルートは厳しいのが現状です。
また、新しい技術を導入するなど医療体制の再構築を行なっています。
自動調剤機器など機械の活用や電子薬歴システムなども対策の一つです。
薬剤師不足の都道府県や地域に転職するメリット
薬剤師不足の都道府県や地域に転職するメリットを具体的にご紹介します。
物価が安い
東京に比べると地方は物価が安いといわれています。特に物価差があるのは家賃や土地代です。
そのうえ、地方では薬剤師が不足しているため家賃手当のある企業も多いです。
毎月の固定費である住居費が安くなると貯金をしやすくなることもメリットです。
ただし後述の通り、地方によっては車が必須で東京よりも出費が増えてしまうということもあるので一概に「地方は物価が安い」とは言えない部分もあります。
地方に転職するなら車の必要性も調べておく必要があります。
薬剤師が飽和している地域よりも高待遇な場合も
薬剤師が不足している地域では、飽和している地域に比べて高収入・好待遇の求人が多いです。
経験やスキルによっても変わってきますが、都会と比べると年収で約50〜100万程度は高く設定されており、年収600万以上の求人も多くあります。
地方へ移住するとき気になるのは引っ越し費用ですが、企業によっては家賃補助に加えて引越し費用のサポートがあります。
都会ではできないライフスタイルで生活できる
地方で生活するメリットといえばやはり自然に囲まれた暮らしと通勤ラッシュからの解放です。
毎朝の満員電車はストレスですよね。
また、その場所ならではの気候や新鮮な食べ物を楽しんだり、ダイビングや温泉など趣味に合わせて働く場所を選ぶこともできるでしょう。
都会よりも患者との距離が密接
地方では都会に比べて患者との距離が近いです。
日々の密接なコミュニケーションで、何気ない日常会話から服薬における問題点が見えてくることもあります。
服薬指導には患者との信頼関係が重要ですから、近い距離で関わることは薬剤師としては働きやすいと感じる方が多いでしょう。
また、地方は高齢化が進んでいるため在宅医療も積極的に行われています。
患者と密接に関わり地域に密着した働き方をすることで、薬剤師としてのやりがいを感じる方も多いです。
薬剤師不足の都道府県や地域に転職するデメリット
続いて、薬剤師不足の都道府県や地域に転職するデメリットもあわせてご紹介します。
都会ほど生活が便利でない
都会で生活している方には当たり前の便利さがないことは頭に入れておく必要があります。
スーパーや病院が近くにない、飲食店の閉店が早い、店舗での品揃えが悪いなど、地方ならではの不便さもあります。
また映画館などの娯楽施設やショッピング施設がほぼないことが多いです。
地方で働く人のブログやインタビューなどを事前にリサーチし、ご自身の中でシミュレーションをしておくと良いでしょう。
コミュニティが狭いがゆえに人間関係がうまく行かない場合がある
コミュニティが狭いと仕事とプライベートの区別がつきにくかったり、なにか問題が発生したときその地域では働きにくくなってしまう可能性があります。
また都会での他人との距離感に慣れている方は、親密な人間関係にはじめは戸惑うこともあるでしょう。
車の運転が必須
地方ではほとんどの場合、通勤は車です。
職場の近くで家を探したとしても、スーパーやコンビニに行く時など、日々の生活には車が必須です。
ガソリン代や駐車場代の他、車検などの維持費もかかります。
求人を探すときは、ガソリン代の支給の有無や駐車場代についての確認もしましょう。
調剤薬局・ドラッグストア・病院以外の求人先が少ない場合も
地方の求人は調剤薬局・ドラッグストアがメインで、製薬会社など他企業はほぼありません。
病院の求人は都会でも多くはありませんが、地方に行くとさらに少なくなります。
また、ドラッグストアや調剤薬局でも都会と地方では異なる点があります。
地方は店舗が広く、扱っている商品も多いです。
来店するのは高齢者が多いので、配送サービスを行なっている店舗の多さも地方ならではの特徴でしょう。
薬剤師が薬剤師不足の都道府県や地域など地方に転職する際のポイント
地方での薬剤師の勤務にはメリットもデメリットもあります。
生活する環境が大きく変わるので、なかなか決心できない方も多いでしょう。
それでも、メリットの方が大きく薬剤師不足の地域で働いてみたい!と思う方へ「思っていたのと違った…」と後悔しない転職をするためのポイントをお伝えします。
その都道府県や地域に行きたい理由を明確にしておく
あなたがその都道府県や地域に行きたい理由はなんでしょうか。
年収アップのため?趣味を楽しむため?ご自身にゆかりのある場所だから?
なぜその場所で働きたいと思ったのか、地方への転職の目的をはっきりさせておきましょう。
ご自身の中で転職の際に大切にしているポイントがあれば求人も見つけやすくなりますよ。
転職活動をすすめていく上でその都道府県や地域で働きたい理由がぶれないように、書き出しておくのがおすすめです。
下見は入念にしておく
地方に引っ越して、暮らす場所や関わる人ががらりと変わると日常生活が一変します。
理想と現実のギャップに後悔しないためには、入念な下準備と情報収集が必須です。
下見に行く際は、職場だけではなく生活圏となるエリアも確認しましょう。
スーパーや病院までの距離や公共交通機関などもチェックします。
今はネットで情報を探せますが、ご自身の目でも確かめることをおすすめします。
例えば、風が年中強く吹いている場所は気温よりも寒く感じますし、坂が多いかどうかは実際行ってみないとわかりません。
その土地の景色や雰囲気なども含めて、行かないとわからないことは案外多いものです。
可能であれば、一定期間その地域に実際住んで働いてみるのが良いでしょう。
3ヶ月から1年ほどの短期間の求人募集もあります。
思っていたより魅力的だったり、自分には合わないと感じたり、実際に働くことでしかわからないメリット・デメリットがあるかもしれませんよ。
高収入というだけで転職先を選ばないようにする
薬剤師が不足している地域の求人は好条件のものが多いです。
同じ調剤薬局勤務でも都会より年収が高いケースが多いため、高収入を目指して地方で働くという方もいるでしょう。
ただ、高収入というだけで転職先を選ぶのは危険です。
なぜ都会に比べて地方での求人は条件が良いのでしょうか。
多い理由として、薬剤師の不足による慢性的な人手不足があげられます。
人口が少ない地域でも、高齢化のため患者は多い場合があります。
働いている薬剤師が少なくて残業が多いのでは?
激務で離職率が高いのでは?
など、労働環境がどうなっているかを確認することが重要です。
薬剤師特化型の転職エージェントを利用する
薬剤師の地方への転職には、薬剤師特化型の転職エージェントを利用しましょう。
上記のような好条件の収入の内訳や労働環境は、自分ひとりで調べるのは難しいからです。
地方の求人はインターネットで誰でも探せますが、インターネット上に公開されている情報だけでは限りがあります。
- 希望している地域ではどんな求人が多い傾向にあるのか
(ドラッグストアが多い?薬局が多い?) - 自分のこれまでのキャリアを活かせるか
- 気になる企業の内部事情
- 求人にのっている給与や働く条件は実際のものと合っているか
など、ご自身の不安を転職エージェントのアドバイザーに相談できます。
転職を考えたら薬剤師特化型の転職エージェントを利用するべき
薬剤師が転職を考える際は薬剤師特化型の転職エージェント(転職アドバイザー)の利用がおすすめです。
薬剤師特化型の転職エージェントを利用すると以下のメリットがあります。
薬剤師特化型の転職エージェントは、職種を問わない転職エージェントよりも調剤薬局やドラッグストアについて多くの情報を収集しています。
求める条件や不安を伝えれば、ご自身に合った求人を紹介してもらえますよ。
まれに実際働き出したら求人の情報と違っていたなんてケースもありますから、心配なことはどんどん相談しましょう。
店舗の雰囲気や実際の残業時間など詳しい情報が入社前にわかるのは転職エージェントを利用する大きなメリットのひとつです。
また非公開求人というインターネット上に公開しない求人も多いため、転職エージェントを利用した方が選択肢が広がることもあります。
地方での転職を後悔しないために、薬剤師特化型の転職エージェントを利用し転職のサポートを受けるのがおすすめです。
まとめ
本記事を最後まで読んで頂きありがとうございました。
薬剤師が不足している地域で働くことは、年収がアップしたり患者さんと近い距離感で地域に密着した働き方ができるなど、薬剤師としてのやりがいや魅力がたくさんあります。
一方、慣れない環境での生活や地方都市ならではの不便さといったデメリットもあります。
悩みや不安を解消するには、転職先を探す際は薬剤師に特化した転職エージェントを利用することをおすすめします。
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