企業で働く薬剤師のやりがいって何だろう?
薬剤師として企業に転職することを検討し始めていて、やりがいを知りたいの?
そうそう!
では、企業で働く薬剤師のやりがいを解説するね!
企業で働く薬剤師のやりがい
薬学部を卒業した後の就職先は、やはり病院や薬局、ドラッグストアが一般的ですね。
関東の私大薬学部の就職実績では、病院や薬局、ドラッグストアへの就職が全体の5~9割を占めていました(※1)
しかし、企業で働くことで人々の健康を間接的にサポートするという働き方もあります。
まずは、企業で働く薬剤師がどんなことにやりがいを感じているかを紹介していきます。
(※1 慶応大学(21年度)星薬科大学(21年度)東京薬科大学(21年度)明治薬科大学(22年度)横浜薬科大学(21年度)を調査)
医療品開発の際の工夫
医薬品の開発に携わるやりがいは、いろいろな工夫や検討を繰り返し、チームとして薬を作り上げていく事です。
医薬品の開発には9〜17年もの長い年月と多額の研究開発費がかかり、それぞれの過程で多くの人々が関わります。
研究や開発から進んだ後も売り上げの予測やマーケティングなど仕事は多種多様にわたり、プロジェクトメンバーやマネジメント層と多くの話し合いを持つことになります。
「今までこの世に存在していなかった薬を作り出す」という仕事は企業勤めでないと不可能な、大きなやりがいを感じられる仕事だと言えるでしょう。
ビジネスパーソンとしての成長が期待できる
ビジネスパーソンとしての成長が期待できるのもやりがいの1つと言えます。
企業に勤める薬剤師は、「ビジネスパーソン」としての面が強いことが特徴です。
企業でのキャリアは「薬剤師のキャリア」では無く、「(薬剤師の資格を持っている)ビジネスパーソンとしてのキャリア」となるからです。
薬剤師の資格を持ちながらも、ビジネスキャリアを積むことが出来るのは非常に魅力的です。
定期的に配置転換を行い、多くの部門を経験する事で社員を成長させる企業もあります。
英語能力やプレゼンテーション能力の向上など、薬剤師でありながらビジネスパーソンとして大きく成長していると感じた時も大きなやりがいを感じるでしょう。
求められる情報を提供できる
顧客から薬に関する情報を求められ、適切に提供できることも企業に勤める薬剤師のやりがいに挙げられます。
薬の情報を取り扱う薬剤師は「医薬情報担当者(MR)」「学術担当者」が代表的でしょう。
自社の製品に関して情報を提供して相手に喜ばれたり、相手からより深い質問を受け、学術的な情報の深まりを感じる時はやりがいを強く感じる瞬間となります。
「情報を分かりやすく加工し正確に伝え、薬の安全な使用を間接的にサポート出来ること」も、企業に勤める薬剤師の仕事のやりがいと言えます。
製薬企業での職種を紹介
ここからは製薬企業で薬剤師が活躍する職種について解説していきます。
営業職
製薬会社における営業職の代表はMR(医薬情報担当者)です。
新たな効果や副作用が明らかになった時は、速やかに医療機関に情報を伝える必要があります。
また、副作用に関する情報も収集します。
しかし、MRは情報を伝達するだけではなく、医療機関を回り、自社の薬をアピールするのも重要な仕事です。
販売数を延ばすには採用品目に入り、医師から処方される必要があるからです。
よって医療従事者と円滑なコミュニケーションを取り、信頼関係を築く必要があります。
ここ10年でMRの環境は大きく変化しています。以前は過剰な接待や、数値を取るために不適切な情報提供活動も見られました。
しかし、制度が整ってきており、以前よりは透明性のある業界になりつつあると言えるでしょう。
開発職
研究と開発という線引きは企業によっても異なるため、ここでは治験業務に関する「臨床開発」の開発職について解説します。
臨床開発に関わる職種はCRA(臨床開発モニター)、CRC(治験コーディネーター)が挙げられます。
CRAは製薬メーカー側の代表者として、医療機関の担当医と連携して治験が適切に実施されているかをモニタリングします。基本的に被験者と直接コンタクトを取ることはありません。
一方のCRCは「SMO(治験施設支援機関)」に勤務し、医師、被験者、製薬メーカーの3者を繋ぐのが仕事です。説明の立ち合いや被験者からの相談に乗るなど、被験者のサポートを行うため、CRCはメンタルケアのスキルも必要とされます。
どちらも治験を支える重要な職業と言えるでしょう。
研究職
創薬研究は「基礎研究」と「応用研究」に分けられますが、企業では新薬候補の化合物をどう薬にしていくかを研究する「応用研究」がメインとなります。
具体的には化合物の物理化学的・生物学的性質の把握と評価、品質や安全性の保証、大量合成、製剤化などの工業化研究などです。
企業によって研究職の仕事は異なり、基礎に近い所から新薬を開発する企業もあれば、既存の成分をどう組み合わせて製品を作るかの処方開発がメインの企業(OTCや後発品メーカー、化粧品会社など)もあります。
研究開発には薬学・化学だけでなく、生物学や細胞学などの幅広い専門知識が必要となります。
理学部や工学部など様々な学部出身の人と一緒に働き、海外文献の調査や会議の為に高い英語力も必要とされることが多いです。
学術職
添付文書やインタビューフォームを参照しても分からないことがあった時、添付文書に記載されている窓口に連絡したことはありませんか?
その問い合わせに対応するのが学術担当者です。
問い合わせ対応以外にも、MRに同行して勉強会の補佐、学会への出席、医療機関や患者さん向けのリーフレットの製作監修、新入社員への指導など、学術職は縁の下の力持ちとして幅広い仕事を手掛けます。
薬の作用機序や詳しいデータ、以前の問い合わせ内容など幅広い知識が必要です。
情報を適切に管理して分析する慎重さや、医療機関やMRからのレベルの高い問い合わせへの対応力が求められる、やりがいのある専門職と言えるでしょう。
管理薬剤師
医薬品を取り扱う部署では管理薬剤師が必要な為、製薬会社、医薬品卸、医薬品製造工場でも管理薬剤師が勤務しています。
まず、製薬会社に勤務する場合の主な仕事は「医薬品の在庫管理」「DI業務(厚労省への申請業務・副作用報告なども含む)」「問い合わせ対応」となり、比較的デスクワークが中心です。
医薬品卸では、「薬事関連(免許や届出の管理)」「品質管理」「医薬情報業務」「教育指導」を主に行っています。
医薬品製造工場では医薬品の製造工程を監督し、製品の品質管理や品質向上に努めています。
具体的な業務はGMP(医薬品の製造管理及び品質管理の基準)が守られているかの確認、製造の許可申請などが挙げられるでしょう。
企業内診療所の薬剤師
企業内診療所とは企業の中に設置される診療所で、学校でいう保健室のような場所です。
ただし、診療所なので医療行為が行われます。
大企業の大きな事業所に設置されることが多く、風邪や頭痛などの臨時処方が中心となります。
スタッフ数は少なく、管理薬剤師がレセプトなど薬局事務の業務もこなす場合もあるようです。
薬剤師が企業で働くメリット
医療機関で働く事と比較して、企業で働くメリットはどんなものがあるでしょうか?
土日祝休みの場合が多い
医療機関よりも土日祝休みの場合が多いのがメリットです。
土曜日の出勤が多い医療機関より連休が取りやすく、人とも予定を合わせやすいです。
シフト制で動く医療機関よりも、企業ではフレックスタイム制を利用して仕事を調節すれば、休みの調整がしやすいと言う声もあります。
特に大企業の場合は充実した福利厚生を享受できる
企業規模が大きいと、福利厚生が充実している事が多いのもメリットです。
住宅手当や家族手当などの各種手当の充実、財形貯蓄、上場企業の場合は持ち株制度がある企業もあります。
産休や育休、復帰後の時短制度などが取得しやすい企業も多いです。
また、社員食堂や事業所内の保育施設が整っていたり、英語が必要な会社はTOEICの受験費用の補助や語学力強化のための支援研修が充実している事もあります。
将来の高い年収を期待できる
医療機関で働く薬剤師は、初任給は良くても昇給が厳しいと良く言われますね。
しかし、企業で働く場合は昇給・昇格の制度が整っている為、将来的に高年収を得られる事が期待できます。
企業により差はありますが、保険制度で収入が大きく左右される医療機関よりも経営が安定しているため、安心して長く勤めやすいという事も大きなメリットと言えるでしょう。
薬剤師が企業で働くデメリット
では、デメリットはどんなものがあるでしょうか。
転勤や出張がある場合も
企業は全国に支店や工場、研究所を持つため、転勤や出張がある場合があります。
まず、転勤が多いのは営業職です。各地の暮らしを楽しめれば良いですが、家族を伴う場合は苦労が多く、結果的に単身赴任を選ぶケースも多いです。
営業職以外でも部署異動に伴う転勤(東京本社から地方の研究所に異動など)は珍しくありません。色々な部署を経験しながらキャリアを積み、出世して年収を上げていくため、企業に勤める以上転勤の可能性は覚悟するべきでしょう。
出張も珍しくありません。コロナ禍でWeb開催も増えたとは言え、全国各地で学会が開かれるため、研究開発職、学術職などは学会出席のための出張も多いです。
また、どんな部署でも研修や勉強会の為に全国の営業所に行く事はあるでしょう。
治験に関わる臨床開発職も、全国各地の治験実施医療機関を回る必要があります。
プロジェクトの内容にもよりますが、月に数回は出張があるのが一般的です。
一時的に年収が下がる場合も
管理薬剤師をつとめ、ある程度高収入を得ている人が企業に転職した場合、年収が下がる場合があります。
企業に転職する場合、その業種の経験がなければ以前の給料は年収に関係ありません。
しかし一時的に年収が下がっても、昇給や昇進による役職手当が医療機関よりも期待しやすいのが企業のメリット。
転職後にキャリアを順調に積めれば、将来的には高収入に繋がることも夢ではないでしょう。
企業で働く薬剤師の年収事情
企業で働く薬剤師の年収は大きな差があり、450万〜1500万と言われています。
企業や職種によって基本給や昇給、手当が全然違うからです。
規模が小さい企業や大手の下請け会社は430〜700万ほど、規模が大きい会社も初年度は450万ほど、その後は昇進・昇給次第という場合が多いです。
調剤薬局やドラッグストアの管理薬剤師からの転職の場合、一時的に年収が下がるのも納得の提示年収ですね。
調剤薬局では小規模な薬局の方が年収が良い場合もありますが、企業の場合は企業の規模が大きい方が福利厚生や手当などが手厚く、年収が多い事が多いです。
しかし、昇給や昇進状況による個人差が医療機関勤めよりも大きく、入社した後の努力によるところが大きい事は覚えておくべきでしょう。
薬剤師が企業で働く際に必要なスキル
薬剤師が企業で働く際に必要なスキルは職種によって異なります。
そのため、自分がどのような職種を希望しているかを明確にし、企業が出している採用情報を確認しましょう。
たとえば、研究職、臨床開発職、学術職では海外の文献参照や会議で必要になることから、英語力が必要な場合が多いです。「ビジネス程度の英語力」「TOEIC750点以上」など、企業により求めるレベルは異なりますが、簡単に得られるレベルではありませんね。
また、チームでプロジェクトを進めていくためのスキルも必要とされます。
「プロジェクトにおけるリーダー的役割の経験」「課題を特定し、対応策を練ることのできる解決力・論理的思考力」などのマネジメント能力が求めるスキルとしてよく挙げられています。
スキルとは少し異なりますが、「6年制薬学部卒以上か理系修士以上」という条件の企業もあります。
4年制卒の場合、応募できないこともあるので注意してください。
企業への転職の場合、医療機関とは求められるスキルが異なるため、事前に把握し、身に着ける必要があるでしょう。
薬剤師が企業に転職する方法
ここからは転職難易度が高いと言われる企業にどうやったら転職できるかを解説します。
ポイントは「年齢」「職種」「転職サイト」の3点です。
なるべく若いうちの転職の方が難易度は低い
企業への転職はなるべく若いうちのほうが良いでしょう。
なぜなら、希望する職種に対して未経験の場合が多いからです。
特別なスキルがある場合を除き、仕事を一から覚えることになります。
年齢が高く、スキルも無いとなると転職の可能性は絶望的です。
年齢が上がるほど転職の難易度が上がるため、企業への転職を希望する場合は出来るだけ若い20代のうちが良いと言えるでしょう。
転職の難易度が低い職種を狙うのも良い
企業への転職と言っても、職種によって難易度はだいぶ違います。
転職出来る可能性のある職種を調べて狙うのも効果的でしょう。
比較的未経験でも転職しやすいのは「管理薬剤師」「品質管理」「学術」「薬事」と言われています。
一方で難易度が高いのは「研究開発職」「CRC、CRO」「MR」です。
薬剤師としての実務経験や知識を活かせるものは難易度が低く、業務の専門性が高い職種は難しい傾向があります。
入社して数年すると、配置転換で他の職種へ異動できる場合もあります。
すべての企業や職種に当てはまるわけではありませんが、調べてみてもよいでしょう。
転職サイトを活用する
薬剤師が企業に未経験で転職したい場合、転職サイトを活用しましょう。
企業の求人は人気が高く、転職サイトでも非公開の場合が多いです。
少しでも良い条件の企業を探せるよう、まずは転職エージェントに相談しましょう。
転職エージェントは転職のプロなので、あなたの採用可能性を冷静に見てもらうこともできます。
学生の頃、就職が容易と言われる薬学部でも、企業志望者はなかなか就職が決まりませんでしたね。
そのうえ、未経験で企業への転職希望です。医療機関への転職とは難易度がケタ違い。
履歴書の書き方や志望動機、面接対策など、万全の体制で臨む必要があります。
転職エージェントの手厚いバックアップを受けて、少しでも転職成功の可能性をアップさせましょう。
薬剤師の転職におすすめの転職サイトはセルワーク 薬剤師
「セルワーク薬剤師」は公開求人数は9万件を超え、日本最大級です。
未公開求人を入れると更に件数は多いため、良い条件の企業を見逃しません。
求人件数が多いだけでなく、アドバイザーによるサポート体勢も整っており、企業への転職を目指す際は是非利用したいサイトです。
まとめ
- 企業で働く薬剤師のやりがいは医療品開発の際の工夫など
- 企業では様々な職種がある
- 薬剤師が企業で働くメリットは土日祝休みの場合が多いなど
- 薬剤師が企業に転職したい場合は転職サイトを活用すべし
企業で働く薬剤師は「薬を作り上げるために工夫を重ねる事」「ビジネスパーソンとして成長できる事」「情報提供で人の役に立てること」などにやりがいを感じており、企業ならではのメリット、デメリットがあることもお伝えしました。
企業に勤める薬剤師も色々な職種があり、転職の難易度もそれぞれです。
企業への転職を考えている場合はよく下調べを行い、必要なスキルを身に着け、転職エージェントに相談して万全の態勢で臨むことをおすすめします。
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