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AIで薬剤師はいらなくなる?AIが薬剤師の仕事に与える影響を解説

目次

AIによっていらなくなる薬剤師の業務

最近どのような職種においてもAI(人工知能)の導入が進んでいます。
AIの導入は仕事の効率化が進み、負担が減るなど、恩恵があることは間違いありません。

しかし、イギリスのオックスフォード大学の研究では、「AIによる自動化により、20年後には今ある仕事の47%が置き換えられる」という研究結果も出ています。

薬剤師の業務はどうでしょうか。
AIによって薬剤師のどのような業務が変化しいらなくなっていくのか、見ていきましょう。

調剤業務

調剤業務は既にAIの導入が進んでいる業務と言えます。
現在の調剤薬局において、調剤業務のすべてを薬剤師が手で行っているという薬局はほとんどないでしょう。
ピッキング業務の監査システムを導入していたり、分包をする際に自動分包機を使ったり、機械化されている業務は多くなっています。
また、軟膏を練る、水剤を調剤するなど、機械化できる業務はまだあります。

実際、調剤の9割を自動化・半自動化した店舗も出てきています。
「禁忌」の見落としや「過量投与」の見落としなどのヒューマンエラーはAIを導入すればなくなるので、人間よりAIの方が調剤監査に向いているとの見方もあります。

薬歴管理

薬歴は手書きから電子薬歴へと変化しています。
今後はこの薬歴入力を入力する過程にも、AIが導入されるようです。
薬剤師による服薬指導の会話をAIが分析して、自動で薬歴文章を作成するような支援システムの開発が進んでいます。

数年前には薬歴未記載の問題もありましたが、調剤薬局での薬剤師業務において、正確な薬歴記載は重要な仕事であるとともに、負担感のある業務でもあります。

今後の薬歴管理はAIによって、より効率的になることが期待されます。

すでにAIが代替している業務

前述した調剤業務もそうですが、薬剤師の業務の中にも既にAIが代替している業務が出てきています。

受付業務

処方せんの受付業務は既にAI化が進んでいると言えます。
患者様の受付に対人ロボットを使っていたり、スマホでの受付システムを導入している薬局もあるようです。

どれだけ注意していても人間がする仕事には、ミスが避けられない部分があります。
受付業務のAI化は、待ち時間を短縮する効果や処方せんの入力ミスなどのヒューマンエラーを避ける効果があると言えるため、患者様にも大いにメリットがあるでしょう。

調剤作業

前述の通り、調剤業務はAI化が進んでいます。

散剤分包や錠剤の一包化は自動分包機が導入されている、ピッキング業務において監査システムが導入されているなど、今やなんらかの機械が導入されているのが一般的です。

薬剤師がすべて手作業でやっていた頃と比べると、AIの導入により調剤業務は正確性・スピードが上がっています。

現在の主な薬剤師の業務内容

AIが導入され、機械化が進む中で徐々に薬局・薬剤師の業務内容が変わってきています。
薬剤師の代表的な業務はそれぞれどのように変わってきているのでしょうか。

調剤業務

散剤や錠剤の分包は自動分包機がしてくれる薬局が多くなっています。
錠剤のピッキング業務・一包化された錠剤の計数確認などは薬剤師の責任の下に、薬剤師以外のスタッフもできるようにもなりました。
薬剤師の調剤業務における業務量は減りつつありますが、調剤業務を全くしなくなるかというとそうではありません。

調剤を始める前提として、「処方せん監査」があります。
この処方せん監査は、人であれば見落とす可能性がある部分もAIであれば見落とさないため、AIの導入が効果的と思われる仕事でもあります。

しかし、見つけた疑義内容を処方医に問い合わせる「疑義照会」は薬剤師の仕事です。
処方せん監査から、調剤業務を完了させるまでにはまだ薬剤師の力が必要です。

服薬指導

服薬指導は薬剤師にしかできない業務です。

薬の用法用量を説明する、薬効を説明するだけであれば、ロボットでも可能です。
しかし薬剤師は服薬指導において、用法用量・薬効の説明だけをしているわけではありません。

患者様の様子・反応から、話を理解してくれているか判断して説明を付け加えたり、家庭での服薬状況を確認するための質問をなげかけたり、さまざまな会話をしています。
その時々の相手の様子に合わせた会話を選択することは、AIにはできない業務と言えるでしょう。

薬剤管理

薬剤の在庫、使用期限の管理などの業務は人の手だけではなかなか賄えない業務です。
薬局の規模によっては、扱う医薬品の種類も膨大で、管理はかなり大変です。
AIは膨大なデータを瞬時に分析することが可能であり、発注業務・在庫管理業務などに向いています。

薬剤管理の分野においては、AIの導入によって薬剤師の業務負担の軽減ができ他の業務へ集中できるなど、より効率的な管理ができると言えそうです。

その他の業務

調剤薬局において、重要度を増しているのが在宅業務です。これはAIが対応できない業務と言えるでしょう。

患者様のお宅や入居している施設などに薬剤師が訪問してお薬をお渡しする、管理することは、患者様の生活の中により関わることになります。
1人1人の生活に合うよう、よりオーダーメイドな薬剤管理を提案することもあります。
このように臨機応変な対応が求められる業務はAIには向いていないと言えます。

在宅業務は社会的ニーズも高く、薬剤師の業務としてますます重要となっていくでしょう。

AIの台頭で薬剤師はいらなくなる?将来性は?

AIが台頭する中で、薬剤師が心配なのは「薬剤師はいらなくなるのでは?」ということでしょう。

今の薬剤師業務は全てAIに代替されて、本当になくなっていくのでしょうか。
薬剤師の将来性について考えてみましょう。

AIの苦手分野

AIの苦手分野の一つが「会話」です。
最近のAIには投げかけられた質問に対して、返事をするというものもあります。
しかしこの「返事」というのは、入力してある膨大なデータの中から一番最適と思われるものを出しているにすぎません。
なぜそのことを聞かれたのか、相手がどのような返事を期待しているのかということは理解していません。

日本語は文脈から意味を判断する言葉も多いです。
「いいです」という言葉は「OKです」と「いいえ、結構です」の両方の意味を持ちますが、このあたりの判断がAIには苦手な傾向があります。

服薬指導においては、相手の様子・反応をみてどのようなことを話すか、どんな質問するかを選択することが求められますが、今のところ服薬指導をAIに任せることはできないと言えそうですね。

薬剤師が対人業務を行う際に大切にしたいこと

薬剤師が対人業務を行う際に、大切にしたいのは患者様との信頼関係を築くことです。

薬剤師は患者様と話す際に、会話の内容はもちろん、雰囲気・視線などにも気を配って、様子を把握するよう努めます。
そして患者様の気持ちに共感する、協調する声かけを心がけます。
これらは患者様に信頼してもらうための行動です。

最近の調剤薬局は「かかりつけ薬剤師」や「かかりつけ薬局」について言われることも多いですが、信頼関係があることは、より正しい理解の下で服薬してもらえたり、それが健康維持につながったりと多くのメリットがあります。

AIが薬剤師の仕事を代替できる!と言われないようにするにも、患者様とのコミュニケーションをしっかりとって、薬剤師として信頼される仕事をする必要があります。

それでも薬剤師の仕事には将来性はある

AIの導入など、これまで薬剤師が行ってきた業務が減ったこともあり、薬剤師という職業の将来性を心配する声もあります。
ここ最近の薬剤師を取り巻く状況の変化を見てみましょう。

薬剤師は将来飽和状態になると予想されていることは事実

近年、薬剤師は将来飽和状態になると予想されています。

厚労省の令和2年医師・歯科医師・薬剤師統計によると、薬剤師の総数は約32万人、薬学部の新設などの影響もあり、ここ数年増え続けています。
2021年には「2045年には薬剤師が最大約12万人、少なくとも約2万人が過剰になる」との予測も発表されています。

コロナの影響で薬剤師の需要は一時的に低下した

ここ数年のコロナ禍は薬剤師の業務にも影響を及ぼしました。
病院への受診控えの影響から、薬局への来局者数が減り、薬剤師の需要も低下しました。
特に派遣薬剤師として勤務していた薬剤師は、契約満了となったケースも多かったようです。

しかしコロナが落ち着くことでまた病院・薬局への人の流れは戻ってくると予想されます。
今後も同様のことが起こることが考えられるため、コロナが落ち着いたから安泰というわけではありませんが、コロナの影響による薬剤師の需要低下は一時的なものでしょう。

薬剤師の有効求人倍率は他職種に比べて高い

薬剤師の総数が増えており、これまで売り手市場と言われ続けてきた薬剤師も有効求人倍率の低下がみられるようになってきました。
現在の有効求人倍率は1.96倍(令和4年8月厚労省一般職業紹介状況)です。

しかし全職種の有効求人倍率は1.18倍であることから、薬剤師は他職種と比べるといまだ有効求人倍率が高い状況です。

これまでのようにいくつもの求人情報を見比べて選ぶ時代ではなくなりつつありますが、まったく仕事が見つからないという状況になる可能性は低いです。

職種別の薬剤師の将来性

前述の通り、AIの導入で薬剤師に求められる仕事は変わりつつあります。
薬剤師の将来性について職種別に解説していきます。

調剤薬局

今の調剤薬局には「かかりつけ薬剤師・薬局機能」を持つことが求められています。
1人1人の患者様とよりしっかり関わり、個々人に合った服薬指導・健康管理全般へのアドバイスなどを提供することが必要です。

AIの導入により生まれた時間は患者様との会話・コミュニケーションに注力し、患者様の信頼を得られる薬剤師・薬局になれれば将来性への不安はなくなるのではないでしょうか。

ドラッグストア

ドラッグストアは調剤薬局併設のケースも多いです。
調剤薬局同様、患者とのコミュニケーションを重視した業務は今後も長く薬剤師を続ける上で大切です。
OTCや介護用品など扱う商品が多いため、これらの情報を提供することや相談にのることはドラッグストアの薬剤師として重要な業務でしょう。

ドラッグストアはニーズの変化に合わせて食品や日用品の充実で売上を伸ばし、近年M&Aが盛んに行われ新規出店も多いなど、業界として成長を続けています。
店舗と患者の両方にとってメリットのある薬剤師を目指すことで将来性への不安はなくなるのではないでしょうか。

病院

病院薬剤師には、患者1人1人に合わせた点滴・治療薬の調製や、それぞれの病棟での専門性の高い業務など、AIでは代替できない業務も多いです。

AIの導入により仕事を失うリスクを感じることは、病院薬剤師ではあまりないでしょう。

また、専門薬剤師・認定薬剤師などの資格を取得し、専門性を高めることは、病院薬剤師としての価値を高めます。

医師や他の職種からの信頼も得られる薬剤師となれるでしょう。

企業

ここ数年、MRは減少傾向です。

薬価の低下や後発医薬品の使用促進により、医薬品企業は利益が減っています。

また、ここ数年のコロナ禍は病院への訪問という営業スタイルを変えざるを得ず、オンラインでの営業など、効率化が進み、MR数を減らす結果となっています。

人が直接営業をすることの良さはもちろんありますが、今後もオンライン化の流れは進むと思われ、MRの将来性は難しい部分もありそうです。

AIによって仕事を奪われないようにするためにするべきこと

薬剤師の仕事をAIに奪われないようにするには、どうすればよいのでしょうか。

薬剤師としてすべきことを考えてみます。

コミュニケーション能力を高める

コミュニケーション能力を高めることは、薬剤師がAIに対して優位性を高める手段と言えます。

コミュニケーションをとることはAIの苦手分野です。

「人」としての強みをより高めることは、患者様からの信頼を高めることにもつながります。

複数のスキルを身につけてそれらを掛け合わせる

複数のスキルを身につけること、それらをかけ合わせることでAIに仕事を奪われないようにすることが可能でしょう。

AIには「単一の決まったことをするのが得意」という特徴があり、応用的な判断、臨機応変な判断などはできないとも言えます。

幅広い知識・スキルを身につけ、どのような状況でも仕事ができるような薬剤師であれば、AIに仕事を奪われる心配はないでしょう。

マネジメント能力を身につける

マネジメント能力を身につけることは、いち薬剤師として存在感を高める方法になります。

管理薬剤師業務は、通常の薬剤師業務だけでなく、店舗全体の管理業務も担うため、その内容は多岐にわたります。

マネジメントをする中で、難しい判断を迫られるケースもあります。

どう考えて何を選ぶかという判断はAIには難しい仕事です。

この管理業務ができることは薬剤師として価値が高いと判断されがちです。

地域密着型の薬剤師として働く

地域密着型の薬剤師として働くことで、AIに代替できない薬剤師となれる場合もあります。

高齢化が進む地域においては、定期的に服薬する患者様が多い、薬の数が多く、管理が難しい患者様が多いなど、薬剤師の力が必要なケースが多くあります。

このような地域では、薬剤師は患者様おひとりおひとりに合った服薬指導や薬剤管理、在宅業務を求められることも多くなるでしょう。

地域密着型の薬剤師はAIに代替できない、患者様に寄り添った薬剤師となれるのではないでしょうか。

キャリアアップを目指すなら転職も視野に

薬剤師として「AIに負けないキャリアを身につけたい!」と思った場合、転職を視野に入れてもいいかもしれません。

今の職場ではどのような仕事をしていますか。

調剤業務が忙しく、患者とじっくり話すことができないという場合、今の業務はいずれAIに変わり、薬剤師としての価値を見い出せなくなるかもしれません。

薬剤師としての将来像・キャリアプランを見据えて、このままでよいのか考えてみてもいいかもしれませんね。

薬剤師におすすめの薬剤師特化型転職サイト

薬剤師の転職活動には薬剤師特化型の転職サイトへの登録をおすすめします。

薬剤師特化型の転職サイトといっても、それぞれ特徴があるので、自分に合った転職サイトを探すことから始めてみましょう。

薬剤師におすすめの薬剤師特化型転職サイトをいくつかご紹介します。

セルワーク薬剤師

セルワークは全国各地の求人情報が約9万件登録された、薬剤師特化型転職サイトです。

勤務地・職種・雇用形態の3つの条件選択から、簡単に絞り込んだ求人情報を見ることができます。

このエリアにどのような求人情報があるのか、年収はどのくらいなのか、全体像をつかみやすいかもしれません。

ファーマキャリア

「オーダーメイド求人」がウリの薬剤師転職サイトです。

もともとある求人を紹介してくれるのではなく、事前に聞き取った希望条件に合う求人情報を作るよう掛け合ってくれることが特徴です。

自分の希望がはっきりしている方は使いやすいのではないでしょうか。

ファルマスタッフ 

大手調剤薬局チェーンの「日本調剤」のグループが運営する薬剤師転職サイトです。

他ではあまり見られない「派遣求人」の取り扱いがあることが特徴です。

また、日本調剤の教育ノウハウを生かした研修を受けることができるため、転職前に勉強したい方にはおすすめです。

マイナビ薬剤師

業界トップクラスの求人情報数を誇る、薬剤師転職サイトです。

扱う求人数が多く、実績も多いため、転職ノウハウをよく知ったアドバイザーがついてくれることが強みです。

まずは多くの選択肢が欲しい!という方は登録してみてもいいかもしれません。

まとめ

  • AIによって薬剤師の仕事でいらなくなる部分はある
  • それでも薬剤師将来性はある
  • 薬剤師のキャリアアップには転職という選択肢もある

AIによって、薬剤師の仕事は代替されることがあるため、薬剤師はいらなくなっていくのかと心配になる方もいるかもしれません。

しかし、現状では薬剤師の将来性はまだまだ「ある」と言えます。

AIにも人である薬剤師にも、得意分野・不得意分野があります。

特に薬剤師として求められる「コミュニケーション」は、現在AIでは代替できません。

コミュニケーションスキルを身につけ、患者様に信頼される薬剤師となることで、薬剤師としての将来性は確実なものとなるでしょう。

薬剤師としてキャリアアップを考えるのであれば、「転職」という選択肢もあります。

自分のなりたい薬剤師像を叶える手段の一つとして、考えてみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人

セルワーク薬剤師は90,000件以上の求人件数を誇る薬剤師のための転職・就職支援サービスです。
「求職者の方の希望に寄り添った提案」を心がけているので、利益重視で希望とかけ離れた条件の求人をごり押しはいたしません。
もし入社後に「入社前に聞いていたことと違う」と感じられた場合、アドバイザーにご相談いただければ求職者様に代わりアドバイザーが就職先にお伝えするなどアフターフォローも行っております。

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