40代薬剤師の平均年収は500万円後半から700万円台
40代薬剤師の平均年収は500万円後半から700万円台です。
40代前半 | 40代後半 | |
男 | 725.9万 | 719.4万 |
女 | 576.7万 | 607.7万 |
(※月収×12ヶ月+年間賞与で計算しています)(引用元:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」)
以下のグラフは、薬剤師と全職種の40代の平均年収を男女別に比較したものです。
(※月収×12ヶ月+年間賞与で計算しています)(参照:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」)
全職種の40代の平均年収と比べると、薬剤師の平均年収は約130〜190万円ほど高くなっています。
薬剤師は国家資格が必要で専門性が高く責任が重いため、同世代と比べて年収が高くなりやすい職業といえます。
女性薬剤師はパートとして働いている薬剤師も多いので平均年収が低めに出る
薬剤師の平均年収は男女で差があります。
女性薬剤師はパートとして働いている人の割合が高いことが主な理由です。
パートは週に数回・数時間の勤務なので年収が低めです。
上記の年収の統計調査は「正規雇用と非正規雇用を合わせたもの」なので、パート勤務者が女性薬剤師の平均年収を下げており、結果として、男性と比べて女性薬剤師の方が平均年収が低くなっています。
薬剤師の就業先別の平均年収
薬剤師の平均年収が一番高い就業先は製薬会社です。
下のグラフは薬剤師の推定平均年収を就業先別に比較したものです。
参照:doda「業種別にみる日本の平均年収2022版」
最も年収が高いのが製薬会社、ついでドラッグストアという結果となりました。
製薬会社は業績を給与に反映する会社が多いため、年収が高くなっていると考えられます。
ドラッグストアは新店舗の増加に伴い薬剤師の需要が高まっているため、好条件の求人が多いです。
一方で調剤薬局や病院の平均年収は450万円~500万円で、他の就業先と比べて低くなっています。
薬剤師の雇用形態別の平均年収
下の表は薬剤師の雇用形態別の平均年収をまとめたものです。
雇用形態 | 平均年収 |
正社員 | 男:637.1万女:540万 |
パート | 277.5万(時給2903円で換算) |
(パート:労働日数(月)13.5日、労働時間(日)5.9hで計算しています)
参照:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」
短時間労働者(パート)として働いている薬剤師の平均年収は、正社員と比較すると262.5〜359.6万円の差があります。
薬剤師の都道府県別の平均年収
薬剤師の都道府県別の平均年収は以下の通りです。
順位 | 都道府県 | 平均年収(万円) | 年齢(歳) |
1 | 静岡 | 698.7 | 38.7 |
2 | 長野 | 689.5 | 43.1 |
3 | 高知 | 642.7 | 40.1 |
4 | 島根 | 625.8 | 42.9 |
5 | 愛知 | 622.1 | 41.4 |
6 | 青森 | 619.8 | 37.2 |
7 | 秋田 | 618.8 | 39.4 |
8 | 宮城 | 610.2 | 45.5 |
9 | 三重 | 600.6 | 42.7 |
10 | 山形 | 595.1 | 39.2 |
11 | 神奈川 | 583.4 | 38 |
12 | 茨城 | 580.8 | 37.7 |
13 | 広島 | 571.4 | 41 |
14 | 宮崎 | 569.7 | 46.8 |
15 | 北海道 | 566.3 | 39.6 |
16 | 福井 | 565.7 | 42.7 |
17 | 滋賀 | 563.9 | 41.3 |
18 | 和歌山 | 562.9 | 43.9 |
全国平均 | 561.7 | 39.4 | |
19 | 大阪 | 558.9 | 36.4 |
20 | 東京 | 553.6 | 38.5 |
21 | 香川 | 547.6 | 42.4 |
22 | 山口 | 538.8 | 42.4 |
23 | 大分 | 537.5 | 39.8 |
24 | 千葉 | 537.5 | 39.7 |
25 | 熊本 | 537.2 | 42.6 |
26 | 鹿児島 | 536.8 | 37.5 |
27 | 富山 | 536.2 | 45.4 |
28 | 福岡 | 530.5 | 40.6 |
29 | 沖縄 | 530.5 | 44.3 |
30 | 岡山 | 528.6 | 36.4 |
31 | 京都 | 527.3 | 44.1 |
32 | 兵庫 | 527 | 36.2 |
33 | 鳥取 | 525 | 34.2 |
34 | 佐賀 | 522.6 | 44.4 |
35 | 埼玉 | 521.2 | 38.2 |
36 | 栃木 | 520.7 | 40.9 |
37 | 山梨 | 511.5 | 39 |
38 | 奈良 | 506.7 | 34.4 |
39 | 岐阜 | 503.4 | 34 |
40 | 石川 | 495.1 | 41.2 |
41 | 岩手 | 494.1 | 35.9 |
42 | 福島 | 489.2 | 50.2 |
43 | 群馬 | 483.5 | 31.8 |
44 | 愛媛 | 463.7 | 38.8 |
45 | 新潟 | 447.2 | 36.4 |
46 | 徳島 | 444 | 43.5 |
47 | 長崎 | 428.2 | 36.5 |
(※月収×12ヶ月+年間賞与で計算しています)
参照:厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査」
平均年収がもっとも高いのは静岡県の698.7万円、もっとも低いのは長崎県の428.2万円です。
ランキング上位の静岡県、長野県、高知県はいずれも人口10万人あたりの薬剤師数が全国平均を下回っており、ランキング下位の徳島県は平均を上回っています。
都道府県ごとに平均年収の差が生じる理由は薬剤師の需要と供給のバランスの他にも、残業時間、勤続年数など複数の要因があります。
40代薬剤師が年収を上げる方法
次に、40代薬剤師が年収を上げる方法をご紹介します。
キャリアアップ
もっとも堅実に年収を上げる方法は昇進して給与をアップさせることです。
薬剤師がキャリアアップするには、管理薬剤師やエリアマネージャーなどの役職を目指す方法があります。
管理薬剤師
各薬局を管理する責任者です。
管理薬剤師になるには今の店舗で経験を積んで昇進する方法があります。
職場によって変わりますが、月に5〜6万ほどの手当が支給され、賞与や残業代などで年収は約100万円ほど高くなります。
エリアマネージャー
地域の複数店舗を統括し、各店舗と本部をつなぐ立場にあります。
コミュニケーション力やマネジメント力など、様々なスキルが必要で勤務年数が長く実績があり、会社から信頼されている人が選ばれやすいです。
月に5〜10万円ほどの手当が支給され、残業代などで約100万円ほどの年収アップが見込めます。
研修認定薬剤師などの資格取得
研修認定薬剤師は、研修により単位を取得することで「薬剤師としての資質向上のため努力している」として認定される資格です。
最初に認定薬剤師の資格取得を目指す人に人気の資格なので、すでに取得している方も多いのではないでしょうか。
研修認定薬剤師の手当がある会社は少ないですが、管理薬剤師やかかりつけ薬剤師になるために必須の資格なのでキャリアアップには欠かせません。
さらなるスキルアップを目指すには、「認定薬剤師」や「専門薬剤師」を取得する方法があります。
資格手当の制度がある職場では、会社指定の資格を取得することで月々3〜5万の給与アップが期待できます。
手当がなくても、認定薬剤師や専門薬剤師の資格を持っていると他の薬剤師との差別化になるため、昇進につながる可能性がありますし、転職をするときにいいアピールポイントになるため、年収アップにつながる可能性も高くなります。
転職の際に好印象を与えられる理由は以下の通りです。
- 認定薬剤師・専門薬剤師の資格は特定の分野における高い専門性をもつことの証明になり、専門性の高い仕事ができるため常に需要があるから
- 資格を持っている人は向上心があり勉強熱心であると考えられ、少し経費がかかっても確保したい人材と評価されるから
認定薬剤師・専門薬剤師の中で、転職に有利といわれる資格を9種類ご紹介します。
漢方薬・生薬認定薬剤師 | 漢方・生薬の専門的な知識があると認定される資格 |
外来がん治療認定薬剤師 | 外来のがん治療を安全に行うための知識・技能を習得したと認定される資格 |
がん専門薬剤師 | がん治療の臨床現場で、安全で的確に薬物療法を実施するために認定される資格 |
感染制御認定薬剤師 | 感染制御や薬物療法の知識があり、感染制御が実践できると認定される資格 |
プライマリ・ケア認定薬剤師 | 医療の総合的なアドバイスを行える薬剤師として、地域医療のさまざまな問題解決に取り組むスキルが評価される資格 |
小児薬物療法認定薬剤師 | 小児の特性にあった薬物療法を実践・サポートするための資格 |
精神科薬物療法認定薬剤師 | 精神疾患領域の薬物療法に関する専門的な知識があると認定される資格 |
在宅療養支援認定薬剤師 | 在宅医療において適切な薬物療法を実践するための資格 |
スポーツファーマシスト | 禁止薬物の投与によるドーピングを防止する薬剤師のスポーツ資格 |
認定薬剤師と専門薬剤師の違いについて簡単に説明します。
「認定薬剤師」とは、薬剤師が専門性の高い仕事を行うために、専門分野の知識があると認定する制度です。
「専門薬剤師」は、認定薬剤師の資格を取得した後実務経験を重ね、学会の発表や論文により専門の研修の業績が評価されると認定されます。
専門薬剤師の方が取得するのは難しいですが、専門性が高く特定の分野のスペシャリストとして評価されるため、年収アップにつながりやすいです。
大手への転職
大手企業への転職は即効性のある年収アップの方法です。
薬剤師の職場の中で、調剤併設型のドラッグストアは給与が高めに設定されています。
大手のドラッグストアは他社と差別化するために調剤併設型の店舗が多く、調剤併設型の店舗には薬剤師の資格を持っている人が必要なため、常に薬剤師が不足しがちです。
薬剤師を確保するため、調剤薬局や病院よりドラッグストアでは好条件の求人が増えています。
以上の理由から、年収を上げるために大手のドラッグストアへの転職を検討する方法もおすすめです。
転職サービスを利用する
年収アップを目指した転職活動には、転職サービスの利用が欠かせません。
転職サービスの利用により、
- 条件にあった求人を紹介してもらえる
- 非公開求人に応募できる
- 希望の条件の交渉をしてもらえる
というのが主な理由です。
転職サービスのアドバイザーに今の年収と「あと○○万円上げたい」と具体的な希望を伝えることで、ご自身の条件にあった求人を紹介してもらえるので、効率よく転職活動ができます。
また、転職サービスはそれぞれの会社で非公開の求人を保有していることがあります。
特に、応募が殺到し対応に追われる可能性があるため、好条件の求人は非公開の募集が多いです。
非公開の求人に応募する唯一の方法は、転職サービスに登録し、アドバイザーに紹介してもらうことです。
転職サービスに登録すると「応募書類の添削」「面接対策」など、選考対策のサポートも受けられます。
高収入の求人は人気があり選考が難しくなることが多いため、プロのアドバイスを受けて転職の成功率を上げましょう。
マネジメントスキルを磨く
マネジメントスキルはキャリアアップに必要な能力です。
管理薬剤師として店舗で勤務する薬剤師の管理・指導をしたり、エリアマネージャーとして担当店舗の統括を行うなどの経験を積むことで、さらに上のポストを目指すことができます。
上記のようなマネジメント経験は即戦力としてのアピールポイントになるため、転職する際も好印象につながります。
年収よりもワークライフバランスを重視する選択肢もある
仕事と家庭を両立したい方は、一般薬剤師として働く選択肢もあります。
薬剤師は他の職種に比べて平均年収が高く残業時間も短いことが厚生労働省の調査でわかっており、ワークライフバランスをとりやすい職業といえます。
しかし、役職につくと残業が増えたり、トラブルが起きると休日でも対応しなければならない場合もあり、年収が仕事量や責任に見合ってないと感じる場合もあります。
ワークライフバランスを重視した働き方で、プライベートを充実させるのもよいでしょう。
40代薬剤師の主な転職理由
40代薬剤師が転職したいと思う理由をご紹介します。
現職の給与が低い
職場の環境によっては、昇進が難しく給与が上がりにくいことがあります。
薬剤師の職場では管理薬剤師やエリアマネージャーなどつける役職が限られているからです。
ポストが少ないので、実力があっても役職に空きがない場合は今後の年収アップが期待できず、職場に対する不満につながります。
管理職を経験するため
管理薬剤師やエリアマネージャーなどの管理職を経験するために転職を考える場合もあります。
例えば調剤薬局で年齢の近い上司がいる場合などは、その上司が異動したり退職してポストが空かないかぎり昇進のチャンスはありません。
今の職場が管理職につける環境になく、この先も昇進が難しい場合は、昇進を目指せる会社への転職を考えるタイミングになります。
調剤業務を経験するため
薬剤師の資格を持っていても、製薬企業のMRや調剤併設型ではないドラッグストアなど、調剤以外の業務についている人も多くいます。
「定年退職後に調剤薬局で働きたい」という理由などで、40代のうちに調剤を経験するために転職をする人も多いです。
実際、調剤経験なしで60代を迎えた場合、調剤薬局に新規採用されることは難しいです。
また、調剤経験者でも、個人の薬局で異動がなくずっと同じ職場で働いていると業務内容や取り扱う医薬品に偏りが生じます。
より多くの処方内容にふれてスキルアップするために転職に踏み切る人もいます。
家族関係の事情
40代薬剤師で、特に女性の場合は
- 育児がひと段落して社会復帰するため
- 家族の介護の時間を確保するため
- 配偶者の転勤
などの理由で転職を行うケースが多いです。
ただし、出産や育児で退職してからブランクが空いている場合は転職に不利になります。
特に調剤経験がないと転職先はかなり少なくなるので注意が必要です。
調剤薬局やドラッグストアでは薬剤師不足の店舗も多いですし、正社員が難しければパートや派遣で働く方法もあります。
パートや派遣ではブランクを考慮してもらえる場合も多いです。
現職が激務
40代になると体力が低下して、病院の当直勤務やドラッグストアの深夜営業など、不規則な生活がつらくなる人もいるでしょう。
管理薬剤師などの管理職についている場合は、年収が増えても業務量や増えたり責任が重くなるため割に合わないと感じるかもしれません。
残業時間や労働量が多いという理由で転職する場合は、調剤薬局を候補とし、営業時間や休日などを十分に調べます。
残業についての実態は、一人では情報収集が難しいので転職サービスのアドバイザーに確認し、無理なく働ける職場を探しましょう。
40代薬剤師の転職は即戦力としてのスキルが求められる
40代薬剤師の転職では、マネジメント経験などの即戦力としてのスキルが年収に影響しやすいです。
これまでの経験を活かせる職場を選べば、年収を上げることも可能です。
転職の際の条件交渉は「管理薬剤師の経験が豊富なので即戦力になります」というように必ず根拠を伝えた上で希望の年収を伝えます。
今までのキャリアをベースに条件交渉を行うので、役職についていた場合はアピールポイントになります。
地方で働く選択肢もある
地方では慢性的に薬剤師が不足しているので、年収アップが実現しやすいです。
高齢者の多い地方や離島など薬剤師不足が深刻な地域では、薬剤師を確保するために高収入で薬剤師を募集している会社も多いです。
管理薬剤師やエリアマネージャーなどの経験があったり、コミュニケーション力やマネジメント力が高い方はどこへ行っても歓迎されますので、好条件の求人が狙えるでしょう。
地方への転職については、高収入・高待遇の求人が多い他にも以下のようなメリットが考えられます。
- 住居費が安くなり貯金がしやすい
- 都会ではできないライフスタイルで生活できる
- 患者さんに密接した働き方ができる
通勤ラッシュから解放され自然に囲まれた暮らしができたり、趣味を楽しむなど、都会ではできないライフスタイルで生活できます。
都会に比べて患者さんとの距離が近いため、地域に密着した働き方ができることも魅力です。
一方で、都会では当たり前の便利さがなかったり、他人との距離感が近すぎることがデメリットになる可能性もあります。
まとめ
- 年収を上げたければ資格を取得したりマネジメントスキルを磨いてキャリアアップし、昇進を目指す
- キャリアアップすることは現職の年収アップにも繋がり、転職の際にもアピールポイントにも繋がる
- 40代で年収アップを考えて転職するなら転職エージェントの利用が便利
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