調剤薬局で働いている薬剤師の方は多いと思いますが、今、調剤薬局の経営が難しくなっていることを知っていますか?
今回の記事では、まちの調剤薬局の焦点を当て調剤薬局経営の現状を解説します。
調剤薬局の現状
調剤薬局の現状について簡単に整理しましょう。
【コロナ禍】調剤薬局の倒産が過去最多
東京商工リサーチの調査によると、2021年度は調剤薬局の倒産が23件にのぼり2004年の集計以来、過去最多を記録しました。
コロナ禍による受診控えで患者の数が減少し、定期的に通う患者で成り立っていた地域の調剤薬局が経営できなくなったのが原因です。
現在はコロナが落ち着き減少傾向
現在は、新型コロナウイルスの感染者数が減少傾向にあります。これにより、調剤薬局の業績も徐々に回復しています。
しかし、後述のように大手調剤薬局の参入や調剤報酬額の改定により、まちの調剤薬局には依然として厳しい経営環境が続いています。
大手によるM&Aが加速
調剤薬局経営は現在、大手によるM&A(合併および買収)が加速しています。
これは、個人や中小の調剤薬局にとってピンチとなる可能性があります。大手の参入により競争が激化し、経営が厳しくなる傾向があります。
この状況下では、地域に根ざした経営や具体的な対策の実施が重要となります。
調剤報酬額の改定で収益が減っている
調剤薬局経営において、最近の課題として調剤報酬額の改定があります。2年に1回行われる改定で、薬局に対する報酬が減らされているのです。
調剤報酬額による収益の減少は、経営の厳しさを増し、倒産のリスクを高める要因となっています。
超高齢化社会で増え続ける医療費を国が必死に削減しようとしているのです。
そして、そのしわ寄せが調剤薬局に来てしまっているのが現状です。
まちの調剤薬局が生き残るために
では、個人経営や中小の調剤薬局が生き残るためにはどうしたらいいのでしょうか?
ここではまちの調剤薬局を経営する上で重要なことを解説します。
倒産の主な原因は「販売不振」
調剤薬局の倒産の主な原因は、販売不振です。
大手の参入や調剤報酬額の改定により、競争が激化し、収益が減少しています。
これにより、経営が厳しくなり、倒産のリスクが高まっています。
処方箋の量はコロナ禍が落ち着き回復傾向にありますが、大手調剤薬局の参入で倒産するまちの調剤薬局が増えています。
地域に根ざした経営
地域に根ざした経営とは、まちの調剤薬局が地域住民との繋がりを重視し、地域のニーズに合わせたサービスを提供する経営スタイルです。
この経営スタイルでは、以下のような取り組みが重要となります。
・地域の医療ニーズや特性を理解し、それに合わせたサービスを提供すること
・地元の医療機関や介護施設と連携し、連携ネットワークを構築すること
・地域のイベントやコミュニティ活動に積極的に参加すること
・地域住民とのコミュニケーションを大切にし、信頼関係を築くこと
地域に根ざした経営を実践することで、まちの調剤薬局は地域の支持を受け、生き残ることができます。
具体的な施策
ここでは、販売不振を解消し、地域に根ざした経営をするための具体的な施策について解説します。
処方箋を集める
処方箋を集めることは、まちの調剤薬局が生き残るために非常に重要な施策です。以下の方法を試してみることが有効です。
- 医療機関との協力関係を築くこと。医師や看護師とのコミュニケーションを大切にし、信頼関係を構築します。
- 患者に対して丁寧な対応を心がけること。親切な接客や薬の説明を行い、信頼を得ることが重要です。
- 地域の医療ニーズを把握し、それに合わせたサービスを提供すること。例えば、高齢者向けの配達サービスや薬剤師による在宅訪問など、地域の特性に合わせたサービスを展開します。
以上の施策を実践することで、まちの調剤薬局は処方箋を集めることができ、経営の安定化と地域の支持を得ることができます。
かかりつけ薬局になる
「かかりつけ薬局」とは、患者さんが定期的に通う薬局のことを指します。まちの調剤薬局がかかりつけ薬局になることは、経営の安定化と地域の信頼を築く上で非常に重要です。
かかりつけ薬局になるためには、以下のポイントに注意しましょう。
- 継続的な関係性の構築
患者との信頼関係を築くために、丁寧な対応と親身なコミュニケーションを心がけましょう。患者の病状や薬の使用方法について理解し、適切なアドバイスを提供します。 - 薬剤情報の提供
患者に対して、薬の効果や副作用、服用方法などの情報をわかりやすく提供しましょう。また、処方箋の説明や相談にも積極的に応じ、患者の不安や疑問を解消します。 - 継続的なフォローアップ
患者が定期的に通うよう促すために、リマインダーの電話やメッセージを送るなどのフォローアップを行います。これにより、患者の健康管理をサポートし、かかりつけ薬局としての役割を果たします。
かかりつけ薬局になることで、患者は信頼できる薬局としてまちの調剤薬局を選ぶようになります。
医療機関への営業
まちの調剤薬局が生き残るためには、医療機関への営業も重要です。以下のポイントに注意して営業活動を行いましょう。
- 提携の機会を探す
医療機関との提携は、処方箋の集め方や患者の紹介などに大きな影響を与えます。地域の医療機関を調査し、提携の機会を見つけましょう。例えば、近隣のクリニックや病院との連携を強化することで、患者さんの紹介を受けることができます。 - 情報提供と教育
医療機関に対して、まちの調剤薬局のサービスや特徴を積極的に情報提供しましょう。また、医療機関のスタッフに対して薬剤の情報や使用方法について教育を行うことも効果的です。これにより、医療機関からの処方箋の集めや紹介を促すことができます。 - 信頼関係の構築
医療機関との信頼関係を構築することは非常に重要です。丁寧な対応や適切な情報提供、相互の信頼関係を築くためのコミュニケーションを心がけましょう。これにより、医療機関からの紹介や信頼を得ることができます。
医療機関への営業活動を積極的に行うことで、まちの調剤薬局は処方箋の集め方を増やし、経営の安定化と地域の支持を得ることができます。
加算をしっかり取る
調剤薬局経営において、加算をしっかり取ることは重要な施策です。
加算とは、特定の条件や要件を満たした場合に、処方箋に追加される報酬のことです。以下のポイントに注意して、加算を活用しましょう。
- 加算の情報を把握する
加算にはさまざまな種類があります。例えば、在宅医療加算や調剤指導加算などがあります。まずは、加算の種類や条件を把握し、それに応じた対応を行いましょう。 - 必要な要件を満たす
加算を受けるためには、特定の要件を満たす必要があります。例えば、在宅医療加算を受けるためには、在宅療養が必要な患者に対して訪問を行う必要があります。加算に関する要件を理解し、それを満たすための取り組みを行いましょう。 - 適切な記録と報告
加算を受けるためには、適切な記録と報告が必要です。追加の報酬を受けるためには、処方箋や患者のデータなどを正確に記録し、必要な報告書類を提出する必要があります。適切な記録と報告を行い、加算を受けるための手続きを正確に行いましょう。
加算をしっかり取ることで、調剤薬局の収益を向上させることができます。
加算の情報を把握し、要件を満たすための取り組みを行い、適切な記録と報告を行うことを忘れずにしましょう。
まとめ
今回はまちの調剤薬局が生き残るための具体的な方法を解説しました。
まちの調剤薬局は大手と同じフィールドで戦っても負けてしまいます。大事なのは、地域にどれだけ密着した経営ができているかです。
以下の点に気をつけ、経営をもう一度見直してみましょう。
- 地域に根ざした経営を行うこと
- 処方箋の集め方を工夫すること
- かかりつけ薬局になること
- 医療機関への営業活動を行うこと
- 加算を活用すること
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