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薬剤師は儲からない?薬剤師の年収事情を徹底解説

目次

薬剤師が儲からない理由

薬剤師の平均年収は日本全体の平均よりも高く、給料が高い職業に分類されます。
「儲からない職業」とは言えないでしょう。
とは言え他の職業に比べて圧倒的に多くの給料を得られるかと言うと、そういうわけではありません。
薬剤師は唯一の薬のプロフェッショナルですが、ある程度の水準以上になると給料が上がりにくいという特徴があります。

なぜ薬剤師の給料は一定以上になるとあがりにくいのか、ここで紹介していきます。

国が医療費削減などの政策を打ち出しているから

ご存知の通り、日本は世界でも有数のスピードで少子高齢化が進んでおり、医療費が増加の一途を辿っています。
特に最近はコロナウイルスの影響で更に医療費が増加しており、国家予算に占める割合は10%を超える程です。
このまま少子高齢化が進み、医療費の増加が続けば、国政全体に甚大な悪影響を及ぼす危険性があります。
そうならないために、国は医療費を削減する為の様々な法律を新しく制定しているのです。

その中でも特に薬剤師の報酬に影響を与えているのが、2年に1度行われる「調剤報酬改定」と、「薬価改訂」です。

調剤報酬改定は薬局が受け取る料金のルールを変更するもので、少しでも医療費を削減するために、国は調剤報酬改定を通じて薬局の料金体系に新しくルールを定めています。

薬価改訂は、国が薬の価格を変更するものです。実は薬の価格は国が決めるものなのですが、日本は年々少しずつ薬の価格を下げています。

このように絶えず行われる薬に関するルールの改訂により、薬局はお金を稼ぐことが難しくなり、結果として薬剤師の報酬も上がりにくくなっているのです。

資格さえあれば誰でも薬剤師になることができ差別化が難しいから

薬剤師は薬に関するプロフェッショナルではありますが、その数自体は決して少ない訳ではありません。
日本全国には30万人を超える薬剤師がおり、更に毎年1万人程度が薬剤師国家試験に合格し、新入り薬剤師としてデビューしています。
一部には薬剤師の数が足りていない地域もありますが、そうでもない限り、単に薬剤師資格を持っているだけの薬剤師では他と差別化ができず、代わりが効く存在になってしまうのです。
お金を稼ぐには他にはない希少性が必要なので、単なる薬剤師というだけでは大きな金額は稼ぎにくいのです。

薬の在庫が多く薬の価値が下落しているから

薬の在庫を抱えることで、職場の経営状況に悪影響を及ぼしやすいことも原因の1つです。
薬局は薬の在庫を抱えてしまうことが多いのですが、在庫を抱えることは負債を背負う事に近いです。
更に、先ほどご紹介したように薬の価格は年々減少している傾向にあるので、在庫を抱える事による悪影響は更に大きくなります。

大きな財政基盤を持つ大企業であれば、在庫を抱えてしまうことによる悪影響は小さいですが、薬局全体のほとんどを占める中小規模の薬局ではその影響は大きいです。
薬の在庫を抱えてしまうことで財政を圧迫し、薬剤師の給料を引き上げる余裕がなくなっているのです。

薬剤師とほかの医療従事者との年収の比較

薬剤師の年収は他の医療従事者と比較してどの程度の水準なのでしょうか。
データを見ながら比較していきます。

薬剤師の平均年収は562万

薬剤師全体の平均年収は562万円となっています。
日本全体の平均年収が400万円台であることを考えると、薬剤師の給料水準は全ての職業の中でも高い水準にあると言えるでしょう。

薬剤師の給料は看護師よりも高い

薬剤師の将来性は?転職の際のポイントも解説!

よく誤解される事もありますが、薬剤師の給料は看護師よりも高いです。
データを見ると、看護師の平均年収は507万円程度なのに対して、薬剤師の平均年収は562万円程度です。薬剤師の方が50万円以上平均年収が高い事が分かります。

看護師の方が年収が高い、と誤解されがちな要因として、看護師は夜勤が多い、という点が挙げられます。
一般的に夜勤で働くと普通の給料に加えて夜勤手当が付きますので、年収は割高になるのです。
薬剤師は看護師と比べると夜勤はほとんどありませんので、夜勤手当を貰っている薬剤師の方は多くありません。

その点を考慮に入れて、仮に夜勤がない看護師と薬剤師を比較して平均年収を算出したデータがあれば、両者の平均年収の差はもっと大きくなると考えられます。

性別・年代別に見る薬剤師の給料

では次に、性別・年代別に薬剤師の給料を見てみましょう。

男性

年齢基本給賞与、手当等年収(①×12+②)
全体42.788.7600.6
20〜24歳27.82.3336.2
25〜29歳34.978.2496.4
30〜34歳40.693.6581.1
35〜39歳46.398653.6
40〜44歳46.298652.1
45〜49歳49.8106.1704.2
50〜54歳51.996.5719.2
55〜59歳51.9107.4729.9
60〜64歳45.759607.2
65〜69歳37.594.6544.6
70歳〜36.646.4485.1

女性

年齢基本給賞与、手当等年収(①×12+②)
全体3879.8535.7
20〜24歳32.50.9391
25〜29歳3367.8464.1
30〜34歳34.889.7507.7
35〜39歳38.975542.3
40〜44歳40.888.8578.7
45〜49歳41.2107.6601.5
50〜54歳49.280.5670.9
55〜59歳41.6120.1619.1
60〜64歳39.450.8524.1
65〜69歳44.467.5600.4
70歳〜40.629.5516.9

表から読み取れるとおり、薬剤師の年収は20代の早い内から400万円台に乗り、30代前半から600万円に届き始めます。
逆に言えば、若い内は年収の上がり幅が大きい一方で、30代半ば頃から年収が上がりにくくなる、という見方もできます。

30代頃から更に年収を上げられるかどうかは、管理薬剤師等の役職に就くことができたか、認定薬剤師や専門薬剤師として認められる資格を取得できたか、などによって大きく変わります。
単なる薬剤師ではなく、希少性を持った薬剤師という立場に成長することができれば、成長に伴い年収を上げていく事が可能です。

女性が男性に比べて給料の水準が低いのは、性差による待遇の違いというよりも、雇用形態に起因するものが大きいです。
20代の頃は性別による年収の差は小さく、30代から年収の差は開きます。
これは、30代頃から家庭を持つようになり、女性の方が正社員ではなくパートやアルバイト、派遣と言った雇用形態に変わる事が多いからであると考えられます。
女性でも正社員として働き続けていた場合、年収は男性と同様に推移していくことになります。

薬剤師の職場別の仕事内容と年収の違い

「薬剤師」と一括りに言っても、その業務内容は職場によって大きく変わりますし、それに合わせて年収の水準も変わります。
それぞれの職場の基本的な仕事内容はどうなっているのか、その点をきちんと把握しておけば自分の希望に合わせて適切な職場を選ぶことが可能です。

薬局

薬局は最も多くの薬剤師が働いている職場です。仕事内容としては、病院やクリニックと連携して処方箋を処方したり、患者への服薬指導をしたり、患者の薬歴管理等があります。
また、最近は国が在宅医療を進めていることもあり、薬局によっては患者の自宅まで訪問して薬を届けたり服薬指導を行ったりすることもあります。

年収について言えば、薬局で一般職として働いていると、給与は500万円程度以上には上がりにくい、という特徴があります。
年次に応じて500万円程度まではスムーズに昇給しますが、それ以上の水準を目指すのであれば、管理薬剤師のような役職者に昇進する必要があります。

ドラッグストア

ドラッグストアの仕事内容は多岐に渡ります。
調剤があるドラッグストアの場合、一般の薬局の様に処方箋を扱うこともありますし、その他にも市販の薬品についての問い合わせを受け付けたり、店によってはサプリメントや他の商品についても任されたりすることもあります。
薬についての仕事だけでなく、普通のスタッフとしての仕事も任されることがあるのです。

その分、ドラッグストアの年収水準は比較的高くなっています。
500万円から700万円程度が目安ですが、企業によって平均年収が違いますので、実際にドラッグストアへの就職を目指す場合は、平均年収が高い企業を選びましょう。

病院

病院の仕事内容も幅広いです。薬局の様に薬を処方する仕事もありますし、より専門的な業務として、チームの一員となり複雑な病気の治療を担当することもあります。
薬剤師以外にも多様な職種の仲間と協働して治療を進めていくことになるので、薬剤師の専門領域以外を理解する必要があります。

仕事の幅広さを考えると、病院の年収水準は高いとは言えません。
病院の薬剤師の平均年収は560万円程度となっていますが、他の職場と違い、病院では夜勤を任されることもあります。
夜勤を務めれば、夜勤手当で給料を上げることが可能です。
また、大きな病院であれば福利厚生が充実している事も多いので、年収だけでなく総合的な待遇で見れば、好条件の職場を見つけることもできるでしょう。

儲かる働き方と儲からない働き方の違い

薬剤師の雇用形態別の特徴をご紹介します。
それぞれの働き方の特徴や待遇の違いを理解して、自分のニーズに合った適切な雇用形態での就職を目指しましょう。

正社員

正社員は、特別な契約更新などをせずに長期(一般的には定年まで)で安定して働くことができる点が魅力です。
スキルや年次に応じて昇進し、給料が上がっていきます。
多くの薬剤師の方におすすめできる働き方と言えるでしょう。
しかしその反面、時間的な制約は多く基本的には一日8時間、週5日程度の勤務が義務となるので、人によってはその点がデメリットになります。

また、スキルや年次によって昇進して給料が上がっていくのは事実ですが、そのさじ加減は会社側に全面的に委ねられている点にも注意が必要です。
自分がどれだけ努力して成果を出したとしても、会社の判断次第で思ったように昇進できないこともよくあるため、努力が必ずしも待遇に反映されない点は知っておく必要があります。

派遣

薬剤師の将来性は?転職の際のポイントも解説!

派遣は、時給に換算すると非常に割の良い働き方ができる点が大きな魅力です。
短期間で大きな金額を稼ぎたい場合など、時給が高い派遣の求人を探すことで効率的にお金を稼ぐことができるでしょう。
しかし、その一方で派遣は有期契約であり、同じ職場では長くても3年しか働くことができないため、割の良い案件で働けたとしても期間が終われば新しく職場を探す必要があります。

また、基本的に昇進していくこともないので任される仕事内容が単調になりやすく、やりがいを感じにくい点もデメリットです。

パート・アルバイト

パートやアルバイトは、希望に合わせて柔軟に働きやすい点が大きな魅力です。
シフト制で働く事が多い為、家庭の仕事をしなければいけない方などでも、自分が働ける時間に合わせて勤務することが可能です。

その反面、時給は相対的に低いことが多く、お金を稼ぐのにはあまり向いていません。
また、職場の状態によっては、自分の希望する働き方ができない可能性もあります。パートやアルバイトで働く場合、事前にしっかりと勤務時間などの希望をすり合わせておくことが大切です。

儲からない薬剤師から抜け出すためには

薬剤師が効果的に稼ぐためには、希少性を獲得することが必要です。
確実な手段として、「管理薬剤師」を目指す道があります。
管理薬剤師は現場の薬剤師のリーダーとして、マネジメントもこなす必要がある大変な立場ですが、その分担い手が少なく需要が高い為、待遇は良くなります。

管理薬剤師を募集している求人を探して転職することで、大きく年収を上げることができるでしょう。
また、管理薬剤師を経験しておくことで、その後においても好条件の求人に合格しやすくなり、キャリア全体にとって大きな武器になるので、迷っている方は管理薬剤師を目指すことをおすすめします。

まとめ

本記事を最後まで読んで頂きありがとうございました。薬剤師は決して給料が低い職業ではありませんが、淡々と働いているだけではある程度以上の給与水準には上がりにくい職業です。

年収を上げるために適切な行動を選択していきましょう。

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この記事を書いた人

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