20代の病院薬剤師の年収は目安350万円から500万円台
薬学部は6年制になり、約17年が経ちます。
ですので薬学部を卒業する年に早くても25歳になり、スタートが20台後半の人もいます。
病院薬剤師の初任給は月額20〜25万円といわれており、年収にすると300〜350万円ほどになることが多いです。
病院によっては薬剤師を年収450~500万円で募集している病院もあります。
数値参考:https://pharma.mynavi.jp/knowhow/preparation/20s-pharmacist-income/#2-3
20代薬剤師の平均年収
病院薬剤師だけではなく、20代薬剤師全体の平均年収を20代前半と後半に分けて解説していきます。
20代前半
20代前半の薬剤師の平均年収は厚生労働省によると、令和2年では352.7万円、令和3年では378.4万円です。
20代後半
20代後半の薬剤師の平均年収は、同調査の令和2年では456.7万円、令和3年では473.3万円です。
薬剤師の20代勤務のメインは後半となりますが、20代前半の薬剤師と比較して100万円前後収入が高くなります。
※出典は賃金構造基本統計調査を参照。算出方法は「きまって支給する現金給与額×12カ月+年間賞与その他特別給与額」で平均年収を算出
(本項目の数値参考
マイナビ薬剤師 https://pharma.mynavi.jp/knowhow/preparation/20s-pharmacist-income/#2-3)
20代薬剤師の職場別の平均年収
続いて、20代薬剤師の現場別の平均年収を見ていきましょう。
ドラッグストア
ドラッグストアの薬剤師の初任給は月30万円前後で、年収にすると350〜450万円ほどです。
ドラッグストアの新卒求人は年収400〜600万円と高めに設定されることもあり、高収入が魅力的です。
さらに大手チェーン店では研修や福利厚生なども充実し、将来はマネージャー職や教育職などへの道もあります。
反面、毎週土日に必ず休めるわけではないなどのデメリットも存在する場合があります。
全国転勤もありますが、多くの場合は転勤可能か選択可能ですし、可能な場合は、転勤エリアが制限される場合よりも給料が高くなります。
その場合は、20代にして年収500~600万円も視野に入れることが可能です。
調剤薬局
調剤薬局の初任給は月22〜30万円程度で、年収にすると300〜400万円ほどです。
新卒採用時の年収は360〜400万円ほどが多く、かかりつけ薬剤師やかかりつけ薬局を目指し、地域連携薬局として専門性を発揮することになると考えられます。
大手であれば福利厚生が充実していると言われます。
地域密着型の中小企業であれば企業によりますが、チェーン店に勤務する同年代より給料が少し高めと言われることもあります。
年収自体は薬剤師の業種の中では高くもなく安くもない中間型という感じです。
雇用形態も豊富なため、比較的長く勤務できるという人も多いのでそれを生かし、自分に合った働き方を選びましょう。
製薬会社
製薬会社の初任給は、月22万円前後で、年収にすると300〜350万円ほどです。
年収は400〜700万円程度と幅があり、仕事内容も職種・企業により大きく異なります。
製薬会社には、薬剤師以外の人も多く働いているため年収に差が出ています。
製薬会社では薬剤師が就く職種としてはMRや研究職があり、その中で結果が重視され、その結果が良ければボーナスなどで高い年収が期待できます。
一般的に給料が高い製薬企業ですが、英語などの外国語能力も求められ、何より成果を求められます。
薬剤師は地域によって年収が違う
薬剤師の平均年収は、職種や職場によって異なるだけではなく、勤務する地域によっても異なります。
例として、人口が多い都市部と地方で比較をすると、地方の平均年収の方が高い傾向にあります。
実際に、地域で平均年収を比較すると、もっとも平均年収が高いのは山口県で667.1万円、もっとも低かったのは山形県で477.6万円でした。
全国平均は580.5万円で、東京都は594.2万円で47都道府県中20位、大阪府は537.0万で37位でした。
地方では、薬剤師の確保が難しく年収を上げることで薬剤師確保につなげているため、同じ20代でも勤務する地域で大きく年収に違いが出ます。
地域による収入の違いを考慮して就職・転職活動をすると、年収アップにつながる可能性が高いです。
(数値参考 マイナビ薬剤師 https://pharma.mynavi.jp/knowhow/preparation/20s-pharmacist-income/#3)
20代薬剤師の平均年収を他職種と比較
他職種の20代の年収と20代薬剤師の年収を比較してみましょう。
職種 | 年収 |
公認会計士・税理士 | 499万円 |
薬剤師 | 480万円 |
看護師 | 465万円 |
保険外交員 | 340万円 |
プログラマー | 387万円 |
個人教師、塾・予備校講師 | 349万円 |
保育士 | 351万円 |
販売店員 | 334万円 |
ホームヘルパー | 303万円 |
理容・美容師 | 297万円 |
接客員 | 307万円 |
上記の表中、年収400万円を超えているのは、薬剤師の他に公認会計士・税理士、看護師のみです。
上記の表は一例ですが、20代薬剤師と20代他職種では年収に100~200万円程度の差があります。
(数値参考 薬キャリ https://pcareer.m3.com/column/59)
20代薬剤師が年収をアップさせる方法
20代薬剤師がより年収を上げるには具体的にどうすれば良いのか解説していきます。
資格取得
年収アップには資格を取る方法があります。
資格を取得することで、他薬剤師と専門性に差をつけることができ、収入が増える可能性があります。具体的な資格をいくつか見てみましょう。
認定薬剤師
多くの場合で最初のステップとなるのが認定薬剤師です。
一定の技術や能力を持つことで資格として認定されます。
疾患を専門とする資格から、在宅医療の専門資格まで多岐に渡ります。
例として、外来がん治療認定薬剤師、緩和薬物療法認定薬剤師、救急認定薬剤師などがあります。
外来がん治療認定薬剤師
外来でのがん治療を安全に実施するため、知識・技能を習得し、地域がん医療において、患者とその家族をトータルサポートできる薬剤師に与えられる資格です。
がん治療が複雑化し、その中で最大の治療効果が発揮されるように努めるとともに、副作用を見逃さない安全ながん薬物療法を支える薬剤師として活躍することが主な役割です。
医師、病院薬剤師、薬局薬剤師による情報の共有により、切れ目のない連携を行う役割を担います。
今後、在宅でのがん治療の増加が予想され、重要な役割を期待されています。
専門薬剤師
専門薬剤師は、まず認定薬剤師を取ってからの習得が基本です。
専門薬剤師は特定分野で、非常に高度な知識と技術を有する薬剤師です。
最新の専門情報を提供する薬の専門家としてチーム医療の一員となり活躍します。
例として、がん専門薬剤師、感染制御専門薬剤師、精神科専門薬剤師などがあります。
がん専門薬剤師
高度化するがん医療の進歩に伴い、薬剤師の専門性を活かしたより良質かつ安全な医療を提供するため、がん薬物療法等について高度な知識・技術と臨床経験を備える薬剤師に与えられる資格です。
具体的には、医師が抗がん薬を選択する際の支援を行い、治療における薬剤や量、用法などを示した計画書(レジメン)の作成、副作用対策など非常に重要な役割を果たします。
医療関係者に薬物治療における適切なアドバイスを、患者や家族に対しては治療の説明はもちろん、治療の不安のを取り去ったり、治療中のアドバイスを行う役割も担います。
感染制御専門薬剤師
感染制御に関する高度な知識、技術、実践能力により、感染制御を通じて患者が安心・安全で適切な治療を受けるために必要な環境の提供に貢献し、感染症治療に関わる薬物療法の適切かつ安全な遂行に寄与することを目的とします。
感染制御専門薬剤師には感染症への治療の知識、消毒、薬と微生物、患者と微生物、薬物治療への参画、院内感染対策チーム等の一員、法の理解が求められます。
病院によっては認定・専門薬剤師による副作用チェックなどの薬剤師外来を行っているところがあります。
NR・サプリメントアドバイザー
健康を意識する人が増えて、保健機能食品やサプリメントを使用する人が増加している中で、どの保健機能食品やサプリメントが自分に必要なのか、また合うのかを理解したうえで選択する必要があります。
消費者の生活、栄養状態、食品の重要性について適切なアドバイスを行い、必要であれば適切なサプリメントなどを選び栄養面から生活をサポートすることが業務です。
資格を取る際は、自分の興味がある分野の資格から取りましょう。
そこから様々な分野に興味を持ち、興味が増えたら資格を増やすのが良いでしょう。
副業
副業も年収アップを期待できる方法です。
薬剤師免許を活かした副業もあれば、薬剤師免許は必要ない副業まで様々です。
薬剤師資格を活かした副業には、ドラッグストアや深夜薬局の当直、メディカルライター、国家試験予備校非常勤講師などがあります。
副業をすることで新たな発見を得る場合がありますし、収入を得ながら新しい価値観や知識を手に入れることができるのは、大変素晴らしいことです。
ただし、管理薬剤師や公務員は副業が禁じられており、また一般企業であっても就業規則により副業が禁じられている場合もあるため、上司に副業可能か確認してから副業をしましょう。
薬剤師の年収が高い地域への転職
地方へ転職すると平均年収が上がる可能性が高まります。
大都市では人材が自然と集まるのですが、地方では薬剤師が不足している地域もあり、薬剤師が欲しい地域ほど、薬剤師を高い年収で募集する傾向があります。
したがって、大都市よりも地方部のほうが平均年収が高い傾向にあります。
もっとも平均年収が高い地域と低い地域で比較すると年間300万円以上の差が生まれる場合もあります。
現職でのキャリアアップを目指す
年収をアップさせるために現職でキャリアアップを目指す方法があります。
20代の薬剤師のキャリアとしては、病院では主任や係長、調剤薬局やドラッグストアでは管理薬剤師やエリアマネージャーなどを目指せるかと思います。
一般薬剤師での平均年収が約400万円であったのに対し、管理薬剤師になると約500~600万円に増加します。管理薬剤師になると約100~200万円のアップです。
また、エリアマネージャーでも約600万円以上と200万円のアップです。
キャリアアップすることも年収を上げる方法の一つです。
転職する
今まで話してきた情報を踏まえて転職することも年収をアップさせる方法です。
特に20代の病院薬剤師は大変勉強になりますが、他の業種と比較すると業務量のわりに年収が低くなりがちです。
病院薬剤師は採用も限られており、薬剤師として非常に勉強になる環境ですが、収入がどうしても満足いかない場合には転職も一つの手段です。
福利厚生を意識した転職も視野に入れるべき
年収の高さは気になると思いますが、福利厚生を意識することも大切です。
例として転勤時の借り上げ社宅や住宅手当などがあります。
また、健康サポートのためにジムを会員価格で使える、家族で保養所を会員価格で使える福利厚生も存在します。
福利厚生を充実させて、従業員がライフスタイルの変化に対応出来るように配慮した企業はたくさんあります。
まとめ
今回は20代病院薬剤師についての記事でした。
現在20代の病院薬剤師は他の薬剤師の業種と比較すると年収が高いとは言えません。
しかしながら、最近は病院薬剤師を確保しようとする動きがあります。
また、薬剤師は病院薬剤師として卒業後研修をするようかもしれないと言った話も出ています。
今後は病院薬剤師の待遇や環境が改善する可能性も大いにあります。
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