「在宅療養支援認定薬剤師」「緩和薬物療法認定薬剤師」の取得をとる人が増えてきたけど、どうやって取るの?
資格の取り方だね。それぞれの魅力について踏まえながら簡単に説明していくね。
在宅療養支援認定薬剤師とは?
在宅療養支援認定薬剤師は、一般社団法人日本在宅薬学会によって認められる認定薬剤師資格です。
居宅や居宅系施設における薬物療法において、適切な知識・技術・態度を備えた薬剤師として認定されます。
在宅療養を必要としている患者様に対し、薬剤師の専門性を活かした薬物治療・サポートを提供します。
医薬品のスペシャリストとして他の医療職種と情報共有を密にしながら、チーム医療の一員として、医療・福祉に貢献していきます。
平成25年度より試験による認定が開始されていますが、平成29年時点では全国に96名のみと非常に少ない現状にあります。
高齢化に伴い在宅医療や地域包括的ケアシステムの拡充が急がれる中、在宅療養支援認定薬剤師の資格習得者の増加が望まれます。
在宅療養支援認定薬剤師の主な仕事内容は、居宅や居宅系施設において、要介護者の主治医により処方された薬物の調剤・服薬指導です。
単に調剤・服薬指導のみを行うのではなく、利用者が地域の生活の中で快適に過ごすことができるよう、飲み忘れや過剰投与などの確認や、社会的・精神的なサポートまで幅広く担当します。
在宅医療は「地域包括ケアシステム」により行われます。主治医はもちろんのこと、訪問看護師やケアマネージャー等、多職種と密な連携が必要となります。「薬」の専門職として、時には意見したり情報交換したりすることが求められます。
在宅療養支援認定薬剤師の魅力
患者様とまるで家族の一員であるかのように近い距離で治療が行えるのが、在宅薬剤師の最大の魅力です。
在宅薬剤師は、医師の訪問診療に同行するケースも多く、老人ホームなどの高齢者施設や患者様の自宅を訪問し、 薬物療法の専門家としてサポートします。
そこで直接お薬をお渡ししたり、患者様の経過を観察したりするほか、健康相談なども受けます。
日々高まる地域医療へのニーズに応えて地域の利用者の療養生活を支えることができるため、やりがいも十分に感じられることでしょう。
『在宅療養支援認定薬剤師』になるには?
ここでは在宅療養支援認定薬剤師になる方法について解説していきます。
資格取得条件
在宅療養支援認定薬剤師になるためには下記のすべての条件を満たさなくてはなりません。
1.日本国の薬剤師資格を有し、3年以上の薬剤師実務経験があること
2.薬剤師認定制度認証機構により認証された生涯研修認定制度による認定薬剤師
日本病院薬剤師会生涯研修認定薬剤師または日本医療薬学会認定薬剤師であること
3.所定の研修講座受講により、35単位以上の研修単位を取得していること
4.在宅業務の実践による5事例の報告を提出すること
5.日本在宅薬学会主催の学術大会に参加していること
6.バイタルサイン講習会を受講していること
資格取得方法
上記の条件を満たしたのち、書類選考・筆記試験・面接を受け、それぞれに合格して登録料10,000円を納付することで、認定薬剤師として登録されます。
①書類選考…認定申請書や研修記録内容、取得認定単位・受講証明書、事例報告書などが審査されます。
②筆記試験…「在宅療養支援認定薬剤師として理解していて欲しいこと」が問われます。勉強方法として、医学・薬学界の著名な先生方のオンライン講義「e-ラーニング」など
③面接
緩和薬物療法認定薬剤師とは?
緩和薬物療法認定薬剤師は、一般社団法人日本緩和医療薬学会(JPPS)によって認定される認定薬剤師資格です。
国民病とも呼ばれる「がん」について、予防・治療・緩和の3ステップで医療を推進されるようになってから、緩和ケアの重要性に注目が集まっています。
このような背景を受け、緩和薬物療法認定薬剤師制度がつくられました。
緩和医療に関わる医療者として適切な知識・技術・態度はもちろんのこと、がん医療の均てん化に対応できる人材の育成を目指しています。
緩和ケアにおいて薬物治療は欠かせないものです。
また、緩和ケアを必要とする患者様は全身状態が悪く、副作用一つで命に関わるような病態になることも少なくありません。
そのような状況で行う薬物療法では、発生しやすい副作用はもちろんのこと、患者様の症状に合った医薬品の組み合わせや状態を注意深く考慮する必要があります。
医師と連携を図り処方サポートを行ったり、適切な調剤・服薬指導などの専門的な知識と技術が必要になります。
緩和薬物療法認定薬剤師の魅力
薬物療法による緩和ケアの専門的な知識・技術・態度を身につけることにより、薬学の専門職として医師等多職種や患者様に対し意見を言えるようになり、患者さんの困っていることを発見・解決できるのが緩和薬剤師の魅力です。
特に緩和ケアにおいては一つや二つの薬物のみならず、多剤を併用して疼痛のコントロールを行う場面が多いです。疼痛のコントロールが難しいがん性疼痛に対して、複数の薬剤を組み合わせることによって痛みを緩和できた際には、患者様からも感謝のお言葉を頂けたりと、大変やりがいのある業務内容です。
さらに認定や学会発表に向けて、医師や看護師、薬剤師の先生達と一緒にグループワークやディスカッションをする事で、常に高いモチベーションで仕事に取り組むことが出来るのも魅力の一つです。
薬物治療のみならず、社会的、精神的にも健やかに生活できるように支援することも、大切な役割です。
『緩和薬物療法認定薬剤師』になるには?
ここでは、緩和薬物療法認定薬剤師になる方法について説明していきます。
資格取得条件
緩和薬物療法認定薬剤師になるためには下記のすべての条件を満たさなくてはなりません。
1.申請時に薬剤師としての実務歴を5年以上有する日本緩和医療薬学会の会員であること
2.申請時に3年以上緩和ケアチームまたは緩和ケア病棟を有している病院、診療所等のいずれかの施設において緩和ケアに従事している薬剤師であること
3.過去5年以内に、認定対象となる講習等を所定の単位(計100単位、毎年20単位)以上履修していること
4.薬剤師として従事している期間中に、本学会年会あるいは別に規定する学術集会において緩和ケア領域に関する学会発表を2回以上行っていること
5.病院等に勤務する薬剤師は緩和ケア領域薬剤管理指導の実績について本学会所定の様式に従い30症例以上提示できること
保険薬局に勤務する薬剤師は緩和ケア領域服薬指導等の実績について本学会所定の様式に従い15症例以上提示できること
6.緩和薬物療法認定薬剤師認定試験に合格すること
資格取得方法
上記の条件を満たしたのち、書類選考・筆記試験を受け、それぞれに合格することで、認定薬剤師として登録されます。
①書類選考…認定申請書や研修記録内容、取得認定単位・受講証明書、事例報告書などが審査されます。
②筆記試験…「緩和薬物療法認定薬剤師として理解していて欲しいこと」が問われます。勉強方法として、医学・薬学界の著名な先生方のオンライン講義「e-ラーニング」など
まとめ
今後、超高齢化社会が進む中で必要性が高まっているのが在宅・緩和治療です。
特に在宅療養支援認定薬剤師は、時代にマッチした資格であり、今後地域に密着した薬局においてますます需要が高まることでしょう。
緩和薬物療法認定薬剤師は、おもにがん治療における化学療法を実施している病院などの医療機関でニーズが高い資格です。
現在では、病院などの医療機関だけでなく、施設や在宅においても緩和ケアを行う患者が増えており、保険薬局に勤務する薬剤師においても活躍の場面が出てきています。
緩和薬物療法に用いる薬剤は取り扱いが難しく、薬物治療の選択肢も増えているので、専門知識を持つ薬剤師の活躍が期待されています。
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